前後についてくる一式

ごはんを食べたいとします。作らないと食べられません。買ってくるでも良い。でも、いま、ソファに沈みこんでいて気持ちが良い。動かないと……動いて買いに行かないとならないなんて、この世界はどういう道理なのだろう(そういう道理なのだ)。

ウーバーがあるじゃないか、スマホを滑る指ひとつで食べ物が届くじゃないか、とおっしゃるかもしれません。その通りでしょう。それができる、それが良い場合はそれで良いでしょう。でも、どこの誰だか素性のわかっている人が自分のために作ってくれる手料理が食べたいのだ!などいうやっかいな人がわたしやあなたかもしれません。からだに良さそうな、野菜をいっぱいつかってたんぱく質も豊富そうな家庭料理がいいんだよ!と思うかもしれません。

なんなら、自分がいいように、自分のために自分がつくる料理を食べたいけれど、自分でつくるのが面倒だという難儀もレアケースかもしれないにせよあるのではないでしょうか。

好きな人と一緒になるとき、「お付き合いしましょう」と合意を確かめる機会を経験をした人も多いかもしれません(そんな口調でなくとも、意味あいとして)。そのプロセスのいくぶん未来のほうで、「お別れしましょう」と合意を確かめる機会を経験した人も多いでしょう(そんな口調でなくとも……以下同文)。

気の合う人、ひかれあう人と一緒になって、いいことがしたい。けれど、その前後に、いくらかの経るべきプロセス、踏むべきステップがあることって多いでしょう。もちろん、アタイは付き合おうとか別れようとか一切いまのパートナーと口約束を交わしたことはないけれどもうウン十年もずっと一緒にいるよ?なんて人がいてもいいでしょう(そんな口調でなくても……以下同文)。

コンビニで食べ物を買いたいとき。ちょうど商品の額面通りの硬貨、そうです一円単位まで商品の値段ぴったりの金額を用意していようとも、店員さんに商品をさしだして、「〇〇円です」とお告げを聴いてから、おあつらえ向きに用意していたぴったりの金額を差し出し、「ちょうどいただきます」なんて言われて、レシートを受け取って、ようやく「手続き」が終了するわけです。用意している金額がちょうどだからって、黙って一方的にお金をレジに叩きつけて商品を持ってお店を飛び出てしまうのでは、強引で乱暴すぎます。まだ、店員さんは「売ります」の合意を示していないのですから(もちろんそれを拒否するケースは考えにくいことはわかります。売るためにコンビニがあるのですから……)。

働きたいにしても、おのぞみの会社におしかけて「空いているつくえはありますか? そこが空いていそうですね。きょうから働かせていただきますね。ヨイショ。」といきなり働きだすことはできません。募集に対して、相手の示す方法で応募し、採用試験なり面談なりを経て、採用の通知をうけて、いついつから、詳しくはこういう条件で、など、合意に合意をかさねまくった末に、ようやく働きだすことができます。生きるってなんて大変なんだろう。もうゴロゴロしてたいだけなのに。ゴロゴロしてたいだけなーのにーーーー!!!

曲についての概要など

作詞・作曲:真島昌利。THE HIGH-LOWSのアルバム『THE HIGH-LOWS』(1995)に収録。

ザ・ハイロウズ なまけ大臣を聴く

YouTubeでなまけ大臣 ハイロウズを検索する

最高すぎるでしょう。このひとことで片付けば音楽ブログはいりません。……いらないか。ゴロゴロしてよう。

面倒な手続きなしで……ゴロゴロゴロゴロ……といいますが、この音楽はハチャメチャ元気じゃないですか。炸裂しまくりです。

ゴロゴロゴロゴロ……のサビのところなんて、タムタムがドコドコいって「ゴロゴロ」感が毛穴を開きまくっています。

ギターのリフも炸裂しています。ダイアトニックの主和音とサスフォーの響きを元に戻すのを繰り返す。ロックの語彙の定番な感じがします。おさえどころがばっちりです。

ジャーンと派手に出てくるギターが左寄り、サブするギターが右寄りに。ブリッジミュートでトントン……と刻んだり。さりげなくピアノが和声をささえます。オルガンも出てきます。ピヨッと愛嬌があります。

ワンコーラスののち、6/8拍子っぽくなりますね。シンプルな音楽の構造のまんなか付近に、フック(ヒネり)です。「ゴーロゴロ……」と甲本さんのボーカルが嘆くように添えます。毛布にくるまるとか、あったかいカーペットの上で何の憂いもなく過ごしているような趣を感じます。極上のサンクチュアリです。でもこのゴロゴロタイムは続かないってわかってる。また戻るよ。ゴロゴロしていられない現実に。

その現実のなかで、メンドーな手続きなしでなまけ大大臣をずっとやってられたらなー!いいのになー!ちくしょー!っつって叫ぶ曲……という味わいを私は感じます。

“大大臣”の語彙に笑います。“Oh!大臣”かと思った。ただでさえ「大臣」なのに「大(おお)」がついちゃう。大慌てに「大(おお)」がついたらOh!大慌てですね。いや、大大慌てか。たとえがへぼくて申し訳ない。大統領に「おお」がつけばOh!大統領……じゃなくて大大統領ですね。こっちの方がしっくりくるか。イヨッ!大大臣!

青沼詩郎

参考Wikipedia>THE HIGH-LOWS (アルバム)

参考歌詞サイト 歌ネット>なまけ大臣

↑THE HIGH-LOWS↓ 公式サイトへのリンク

『なまけ大臣』を収録したTHE HIGH-LOWSのアルバム『THE HIGH-LOWS』(1995)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『なまけ大臣(ザ・ハイロウズの曲)ギター弾き語りとハーモニカ』)