コーラスの語彙と動的活力

原曲はボビー・デイ(1958)。ザ・デイブ・クラーク・フィイブのカバーは1965年。7枚目のアルバムに収録されていますが、演奏に勢いと新鮮さを感じます。7枚目と聞くとかなり中堅・ベテランの領域を想像しますが、1年に1枚どころかそれ以上のアルバムを出すようなビートルズ的なスピード感で活動したバンドだと仮定すると、この溌剌としたエネルギーが7枚目のアルバム収録で聴けるというのもひとつ腑に落ちる範疇なのかもしれません。

デイヴ・クラーク・ファイヴはエド・サリヴァン・ショーへの出演歴があり、ビートルズとの列挙でブリティッシュ・インベイジョンをなしたバンドの一例に数える向きもあるようです。

ところでキャンディーズを聴くと「はう」「あう」といったコーラスが聴き取れることがあります。このコーラスの語彙のはじまりをもとめて辿るとどこに行き着くのか?との興味の直列にこのデイヴ・クラーク・ファイヴ作を挿入しても良いでしょう。「Ah Ooh」といったようなコーラスが聴き取れます。

この曲への認知を私にくれたのは萩原健太さんの近著『幸せな結末 大滝詠一ができるまで』でした。著書のなかで、大滝さんの代表曲『幸せな結末』のシングルB面に収録された『Happy Endで始めよう』のアレンジの特徴に言及する部分があるのですが、そこで挙がったのがデイヴ・クラーク・ファイヴによる本曲でした。

本曲『Over and Over』のコード進行はⅠとⅤだけです。間奏でハーモニカが出てくるところがインスタントで純真な共鳴を私にくれます。低い音域のサックスがバフーンとうなりをあげるサウンドはリトル・エヴァが歌った名曲『ロコモーション』のサウンドを思い出させます。動的で熱量のある曲想にこうした管楽器の低いサウンドは与するのでしょう。

Over and Over The Dave Clark Fiveも歌ったBobby Dayの曲 名義、発表の概要

作詞・作曲:Robert James Byrd。The Dave Clark Fiveのシングル、アルバム『I Like It Like That』(1965)(のボーナス・トラック?)に収録。Bobby Dayの原曲は1958年のシングル。

The Dave Clark Five Over and Over(アルバム『I Like It Like That』配信収録)を聴く

ボーカルのレイヤーにパワーがあります。シンプルなサビ(コーラス)を複数で表現。ヴァースも基本ダブリングあるいは複数のユニゾンのボーカルサウンドです。キャンプで焚き火を囲んで歌いたくなる弾んだグルーブをしています。

カンカンとスネアドラムのキャラクターが乾いていて抜けが良く、フィルインで連打しても歯切れの良さを保ちます。クローズドハイハットは時折いる感じがしますが、クラッシュやライドの類のシンバルが一切ありません。歯切れの良いサウンドを保ち、楽器パートの邪魔をしませんしボーカルパートのレイヤーが醸す清涼感をマスクしません。シンバルを使わないドラムプレイスタイルの価値を見直させます。

ブン、ズンと1小節につき2ストロークを強調する深いベース。アコギのストラミングが和音の質量を担います。ピアノのコードも入っているのか、私の気のせいか? モノラルの音像なのでサウンドの質量の内訳を細部まで読み取れません。渾然一体となったパワーがあります。

間奏ではハーモニカがリード。ここでだけ登場します。サックスは低い音域でリードに浮き上がってくることはありません。バリサクでしょうか。

青沼詩郎

参考Wikipedia>I Like It Like That (Dave Clark Five album)The Dave Clark FiveOver and Over (Bobby Day song)

参考歌詞サイト Genius>Over and Over

Dave Clark Five Webサイトへのリンク

ボーナス・トラックに『Over and Over』を収録したThe Dave Clark Fiveのアルバム『I Like It Like That』(1965)