Poetry in Motion Johnny Tillotson 曲の名義、発表の概要

作詞・作曲:Paul Kaufman、Mike Anthony。Johnny Tillotsonのシングル(1960)に収録。

Johnny Tillotson ポエトリー(『Johnny Tillotson’s Best』収録『Poetry in Motion』)を聴く

君は生きた詩だよ……その優美さをホメる慣用句がpoetry in motionだといいます。近日だと、大谷翔平選手をこの表現でホメたメディアがあるんだとかないんだとか。

詩は紙のうえにあることが多いです。まずはそこに立たされる。それにコンタクトした人が、おのれの眼球なりを通して文字列を頭のなかの映像に変換するでしょう。あるいは朗読であらば耳から。その声の演技は紙の上に記された文字列とはまただいぶ違った二次的想像を生むでしょう。

詩は解釈が人それぞれです。もちろん読み筋のせまい作品も世にはあまたあるでしょう。誰かにとっての正義は悪であり、誰かにとっての美は醜態です。

詩という観念そのものの話に逸れてしまいましたが、ジョニー・ティロットソンの『ポエトリー』。オープニングの、テンポから解き放たれた自由なタイミングでの導入。主人公の穴があきそうな熱い目線を引き寄せる対象の優美さをテンポから自由になった音楽で表現します。ブリブリにぎらつくサックスが色めき艶めき。

モノラルの音像のなかにドラム、ベース、ピアノ、そして女声群などもひしめきます。ぶんぶんと快活に4つの打点でビートを前に進めるコントラバスのフィンガー。ドラムはデシデシとインパクトと太さのある音色です。ピアノのダウンストロークがベースの提示する4拍それぞれをさらに2分割。和声はシンプル、Ⅰ・Ⅵm・Ⅱm・Ⅴ、この世に1000曲でも10000曲でも、対象の優美さを嘆く音楽を具現化してくれるでしょう。

ヤギの鳴き声みたいに曲中もぶいぶいとサックスがうめきちらします。間奏でジョニーのリードボーカルとたわむれ、舞う女声のソロリードパートが出現します。想像のなかでは肩をならべて主人公とその意中の人は可憐に舞います。この対等な夢のような時間は現実のものなのか。

エンディング付近で、世の中に実在する大衆歌『Love Potion No. 9』の文脈を用いて歌詞にウィットとアクセントをもたらします。

“No number nine love potion Could make me love her more”

主人公が意中の彼女にもっともっと熱をあげるのに、媚薬などご無用なのでしょう。さながらLove Potion number “0”か。ナチュラルハイだね。

青沼詩郎

参考Wikipedia>Poetry in Motion (song)

参考歌詞サイト JOYSOUND>Poetry in Motion 

『Poetry in Motion』を収録した『Johnny Tillotson’s Best』(1962)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『Poetry in Motion(Johnny Tillotsonの曲)ウクレレ弾き語り』)