落日 ICE BOX 曲の名義、発表の概要

作詞:秋元康、作曲:ICE BOX。ICE BOXのシングル、アルバム『The Very Best Of ICE BOX』(1994)に収録。

ICE BOX 落日を聴く

これ素晴らしい。ある意味、すごく普通なのです。普通は陳腐と混同されがちな観念でもありますがそんなことをいいたいのではないのです……普遍的な楽器編成(パート構成)で、適確なアレンジで最高の仕事をしている。ここで私がいう「普通」は「ありえない!」「クール!」の意味、要は最高の称賛の意味です。

左でピアノがコンコンと心の琴線を叩き、見事でチャキっとアコギが輝きを。ストリングスのチェロパートが目立ってますね。チェロしかステージに見えていない瞬間があるかと勘違いするほどにイイ動きをしています。

ピチョピチョ・コヨコヨと、夏の校庭の水道の蛇口を指でふさいだり半開きにしたりしてふざけている生徒がほとばしらせるみたいな輝きとゆらめき豊かなサウンドを添えるのがオルガンでしょうか。ロータリースピーカーから鳴らすとか、ドローバーをうまいこと展開にあわせて引っ張るとこういう豊かなサウンドがするのかしら。私も一度は実機に触れてみたいです。

エレキギターは伸びやかな歪みで倍音をザーっと極太の平らなペンキ筆で「素地の塗り」を敷くようないぶし銀な存在感です。

ドラムスが目立っています。キックの乱打がタマラン。フィルのタムで定位が左右に出ます。豪快なプレイヤーです。楽曲の地味なんだけどエモみのある、こう「イキたい!」でも「イキきれない!」かんじのイケズな曲想のなか、「もしサイゴまでイケてたら」というifのカタルシスを代弁してくれているのがこの豪快なドラムプレイではないでしょうか。このドラムが心から耳の歓びです。

エンディングのストリングスのパターンとか、一瞬重音で豪快に浮かせるようなベースプレイとか、フェードアウトが切れてしまう際になって急にピアノがエモーショナルにモチーフを目立たせてくるところとか、楽曲のエンディングを充実したものにしますしこれがアルバムのラストトラックになっていますから複数曲のしめくくりです。夏の終わりの憐れみと哀愁にケリをつけるのにこれ以上の仕事ぶりはないでしょう。これならもう腹をくくって九月を迎えられます。でもまだもうしばらく暑くなったり涼しくなったりを繰り返すでしょうから、ICE BOXのお世話になりながら快適に過ごしたいもの。

そう、森永の氷菓のICE BOXの広告プロジェクトといっていいのか、特別な音楽ユニットがICE BOXという存在のようです。SPEEDの楽曲を書いていた伊秩弘将さん、それから中西圭三さんをも含む音楽ユニットです。豪華でスペシャルですね。

作曲がグループ(ICE BOX)名義で、作詞が秋元康さん。『落日』の歌詞の字面だけみると、なんだか『川の流れのように』のような遠い目をした淡く深く悠久な心象が見えてくる歌詞で、歌詞『落日』に対して見岳章さんが作曲し、美空ひばりさんが歌唱していたらどんなものになったか? というヨコシマな妄想を誘います。それも名曲に違いないね。

青沼詩郎

参考Wikipedia>ICE BOXThe Very Best Of ICE BOX

参考歌詞サイト 歌ネット>落日

森永製菓 ICEBOXの公式サイトへのリンク 私も中高生のとき食べてましたし、酷暑のこの頃、道を歩きながらこれを食べてる人とすれ違いました。2024年(このブログサイト記事の執筆時)のビジュアル担当は日向坂46の正源司陽子さんと藤嶌果歩さんとのこと。関連の度合いはさておき、秋元康さんの携わりが長く続いているのでしょうか。超がつくロングセラー商品で知名度も相当なものかと。

『落日』を収録したICE BOXのアルバム『The Very Best Of ICE BOX』(1994)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『落日(ICE BOXの曲)ピアノ弾き語り』)