Ride On Shooting Star the pillows 曲の名義、発表の概要

作詞・作曲:山中さわお。the pillowsのシングル(2000)、ベストアルバム『Fool on the planet』(2001)に収録。OVA『フリクリ』(2001-2002)主題歌。

the pillows Ride On Shooting Starを聴く

なんて自由自在なんだろう! 想像の楽しさを思わせます。腰が軽い。風に乗って大気圏に届きそうな気分になります。

印象的なギターリフがヴァースを敷き詰めます。右のギターが耳を突き刺してくる! 立て続けにドラムのタムの轟音。

最初のヴァースのリードボーカルにディストーション効果。携行用のスピーカー付きのハンドマイクとかメガホンとか、あるいは無線機越しに通信を聴いているような声の演出で言葉の輪郭がはっきりします。インスタントな工業製品が普及した現実世界のような近未来やディストピアのフィクションのような。

左右のギターが厚みを出します。ルート音よりさらに5度下の音も一緒に押さえて鳴らした感じのず太いコードの響きがヘヴィなジャンルを想起させます。ジャンルひとつひとつの房も体重を忘れたみたいに自由に飛び回る身軽さがあり、これっぽっちも依存していないのです。この曲にこのサウンドあり!なのですけれど、それが魂そのものではないというか、あくまで身を包むファッションであって、俺には選択の自由があるんだぜという粘着しない潔い誇りを感じるのです。

エンディングではギターのリフが左右でハモリになり、シンセでしょうか、力が抜けて眠りにおちてしまうような無情な電子的な音でオチていきます。

言葉が痛快。“オレンジ” “スポンジ” “グランジ” “リベンジ”。こうした韻もまた、遊びであり趣向でありファッションでもあります。これに包まれた本体が確かにあるから自由でいられるという気概を感じるのはなぜか。ファッション性を強く打ち出しても、ソトミ(ガワ)の中に確かなものがある、そう確信させてくれるものはなんなのか。

ギターリフレインの性格であったり、ひとつひとつのモチーフ、サウンドの選び方、その組み合わせ方。さらにいえば楽曲のたしかな魂柱たるメロディ・リズム・ハーモニーに確固たる特長があるからでしょうか。たとえばこの曲を弦カルにしても、たとえばプログラミングして初音ミクに歌わせても、あるいはチップチューンみたくしてスーパーファミコンから鳴っているゲーム音楽みたく仕立てても、なんならミョーーーンとドローンを敷いてシタールとタブラでインド音楽みたくしても、楽曲の要素を的確に抽出して快楽と自尊のドツキ合いに昇華さえすれば間違いなく『Ride On Shooting Star』だ!というアイデンティティを失うことはないでしょう。私が音楽に、殊にボーカルミュージックにおいて重視するのはそこなのです。

the pillowsは自由で痛烈な確信犯なのです。最高な訳だ!

青沼詩郎

参考Wikipedia>Ride on shooting star

参考歌詞サイト 歌ネット>Ride on shooting star

the pillows 公式サイトへのリンク

『Ride On Shooting Star』を収録したthe pillowsのベストアルバム『Fool on the planet』(2001)