いとしのローズマリー ブライアン・ハイランドの優美なデビュー

ブライアン・ハイランド作品の代表をひとつあげれば“ビキニスタイルのお嬢さん”でしょう。彼のファーストアルバム『The Bashful Blond』(1960)に収録されており、今回取り上げるのはその中に収録されている『Rosemary』です。“いとしのローズマリー”と題され、1959年のデビューシングルであるといいます。

あまりヒットしなかったかのような評もあるようですが、非常に審美的で起伏が穏やかでありながら響きの変化に富むコード進行、ブライアンの甘く柔和な声で表現されるやさしいメロディと曲調が非常に魅力的です。

以下、Eメージャー調の前提のもとの説明です。

ブリッジ(You are like an angel…と歌うところ)の折り返しの“You can answer all my…”と歌うところのA→G#m→D#7→G#m→Bというコード進行、D#7でハッとさせます。

ヴァースのコード進行も平易で穏やかながら、揺らめく響きの変化にご注目。
E→B→C#m→F#7→F#m→G#m→A→Eと、セカンダリードミナントの長3度の響きをマイナーに変えてサブドミナントにしてしまい(Ⅱ7→Ⅱm)、F#m→G#m(Ⅱm→Ⅲm)とマイナーコードを連ねたのち、Ⅳ→Ⅰ(A→E)と第3型カデンツで和音進行の文章を綴じてしまいます。愛やロマンの儚さを嘆くみたいで優美なコード進行です。

Brian Hyland Rosemary いとしのローズマリー 曲の名義、発表についての概要

作詞・作曲:Maddy Twomey、Ruth Lane。Brian Hylandのアルバム『The Bashful Blond』(1960)に収録。

Brian Hyland Rosemary(アルバム『The Bashful Blond』収録)を聴く

トゥルルルルル…(ソ# シ ソ# ファ# ソ#)と、ペンタトニックを用いた女声コーラスが哀愁めいています。

イントロモチーフの採譜例。女声とエレキギターのかけあいが恋しい。

アコギのストラミングがコードの響きとリズムをリードし、和音をチャラーンと置いく、女声の「トゥルルルル」のフレーズにレスポンスするオブリガードメロディを弾くなどするエレキギターがサウンドに輝きを添えます。カタカタときわめて軽い音色のパーカッションが聴こえる感じがするのはボンゴでしょうか。ブライアンの柔和で甘美な歌唱の質感は、ASMR的な心地よさもあるかもしれません。

蛇足ですが、ザ・ブルーハーツ『ラブレター』といった楽曲の音楽的嗜好の参照元はこのくらいの時代のオールディーズにあるのかなぁという気もします。

ブライアンのアルバム『The Bashful Blond』(1960)にはミルス・ブラザースが歌った『Paper Doll』のカバーも収録されています。前後の年代に渡る音楽的文脈のつながりを手繰る面白さがありますね。

青沼詩郎

参考Wikipedia>Brian Hylandブライアン・ハイランド

参考歌詞掲載サイト AWA>Rosemary

『Rosemary』を収録したBrian Hylandのアルバム『The Bashful Blond』(1960)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『Rosemary(Brian Hylandの曲)哀愁のトゥルルルルル… ギター弾き語り【寸評つき】』)