一瞬の帯

子供が子供でいるのは人生のなかの一瞬です。

一瞬は言い過ぎでしょうが短いです。「今だけ」は諸先輩方が口を揃えていうあるあるです。

私の子は7歳と5歳(ともに♂)です(2024年、執筆時)。上が小1で下が年中。長男のすこしあとに次男がつづく感じの年齢差です。

長男はひとりでいろいろできることでも、次男にはまだ手伝いが必要なこともままあります。

長男にはもう必要なくなってしまった「手」だと思うと、それを次男に向ける機会がまだぎりぎりあるのが貴重に思えることがあります。諸先輩方がいう「今だけ」って、コレか!

話は変わって、森永製菓の氷菓「ICE BOX」をPRする「ICE BOX BABY」という音楽ユニットがあって、『冷たくしないで』という軽快なビートが特徴的な良い楽曲があることをネット上の交流で最近教えてもらいました。

これが当初覆面ユニットだったとのことですが、実際に歌唱を担当したとおぼしきメンバーがWikipedia上に明かされています(参考Wikipedia)。それらのメンバーひとりひとりを追ってもまた音楽の広がりが得られます。

そのメンバーのひとりとおぼしきトモ子さん。当時のアーティストネームは大本友子さん。それから「おおもと友子」、さらに「トモ子」と改名なさっています。

彼女の作詞作曲レパートリーに、3月の時期にぴったりな素敵な曲があるのを見つけました。ご本人の長女が卒園されるのを動機に制作し、実際に卒園児の父母たちで歌ったとのことです。2005年2月〜頃の出来事だというので、今頃(執筆時:2024年)はトモ子さんのご長女は25歳くらいになる計算でしょうか。早いものといいますか、やっぱり「今だけ」なんですね……どんな年齢、どんな人生の時期であっても、常に「今だけ」です。

桜待つ朝に トモ子 曲の名義、発表の概要

作詞・作曲:おおもと友子。トモ子のアルバム『あなたが産まれた日』(2006)に収録。

トモ子 桜待つ朝にを聴く

ふわふわとふくよかでやさしい……すべてを受け入れてくれるような音響に包まれます。実際にホールで収録したのか、スタジオで収録してホール系の残響をエフェクトでつけたのかわかりませんが、やわらかくて暖かい心地よいサウンドが収録されています。

ピアノ1台のこれぞまっ正面な編曲は澤近泰輔さん。ベースの柔和な動きと、後続の拍を埋める上声の分散の均衡が心地よいです。リズムで埋めすぎず、ふわりふわりと2分音符くらいで音のつぼみが開く余白をつくっていきます。まさに“桜待つ”ですね。

素敵な歌なので私も自分で弾き語りに挑戦しましたが、泣けてしまってこみあげてしまってやばいです。どんな歌も、歌詞のある音楽は、言葉の意味や情景をめいっぱい自分の中にも立ち上げて歌いたいものですが、この曲でそれをやると泣けてしまって自爆します。自分の外側にだけ言葉の意味が出ていくように……楽曲がひとつの霊魂だとしたら、霊魂の意思を色付けなくそのまま聴いてくださる人に渡すように、自分の心を透明な「媒介」のようにする必要がときにはあるでしょう。歌おうとする人を巻き込むやばい曲です。

「今だけ」をパックできる「楽曲」という媒介を私が好きな理由に少し近づけた気がします。

青沼詩郎

参考歌詞サイト プチリリ>桜待つ朝に

参考Wikipedia>トモ子

トモ子(旧・大本友子)*シンガーソングライター Xアカウントへのリンク

トモ子 noteアカウント>あのころ、 『桜待つ朝に』 ご本人のnoteアカウントにこの曲にふれた記事があります。ご本人の長女の卒園を機に作曲し、卒園式に父母たちで発表したもよう。泣いちゃいますね、、、。

『桜待つ朝に』を収録したおおもと友子のアルバム 『あなたが生まれた日』(オリジナル発売:2006年、再発売:2012年)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『桜待つ朝に(トモ子の曲)ピアノ弾き語り』)