中山美穂さんを聴くきっかけ
『JINGI・愛してもらいます』という曲を最近、私がYouTubeに動画投稿をしている筋のコメント欄でおしえてもらいました。松本隆さん作詞で小室哲哉さんが作曲という中山美穂さんのシングル曲です。私ははっぴいえんどが好きですし、松本隆さん作詞の数多の提供曲もいろいろ聴いてはいましたが、小室哲哉さんとの共作があるとは意外でした。歌手としての中山美穂さんを私はあまり意識したことがなく、女優さんとしての認知が強い……浅い認知でした。長く歌手として活動を継続しているのだとこの機会に思い知りました。
『世界中の誰よりきっと』は聴いたことがありましたし楽曲を認知していました。これが、中山美穂さんとWANDSの名義なのですね。あまり歌手名を意識することがなくとも楽曲の存在が大衆に刷り込まれるほどにカラオケなどでも好まれている曲なのかもしれません。男女が一緒に歌える、デュエットソングというふるいにかけるだけでも世のポップソングをかなり絞ることができると思うのですが、その中でも『世界中の誰よりきっと』はきわめて優れた楽曲のひとつでしょう。
中山美穂さんの、あこがれのお姉さん然とした存在感には巨大なものがありそうです。むかし、『クレヨンしんちゃん』のなかで主人公のしんのすけが「ミポリン」と呼んで親しむタレントの名前が挙がるシーンがあったような気がするのです。あの「ミポリン」、現実の中山美穂さんのことを「クレしん」作中で名指ししたシーンだったのだと思うのですが……どんな放送回、いつ何話で登場したものか、アニメでなく原作だったか? 一切覚えていませんが……しんちゃんの、美しい女性に対するアンテナのことばかりが私の頭に深く刷り込まれています。
すごくどうでもいい話で申し訳ないのですけれど、しんちゃんが作品の主人公としてこの世に生まれてから現実のとおりに歳をとっていると、私(1986年生まれ)とほぼ同い歳だったような。しんちゃんが「5歳児」として描かれ始めたとき、私も5歳だったように記憶しているのです。
曲の名義、発表の概要
作詞:上杉昇・中山美穂、作曲:織田哲郎。中山美穂 & WANDSのシングル(1992)。
世界中の誰よりきっとを聴く
ロネッツの『Be My Baby』リスペクトのオープニングとエンディングですね。これぞなドラムスパターン。クラベスだかカスタネットみたいなトーンが合いの手のリズムをかますところもそれっぽい。
ズンズンとエレキギターのエイトのダウンビートがサウンドの要です。歪みがかなり深いですね。この年代のポップソング、あるいはビーイング、長戸大幸さんの系譜のサウンドといってよいのか。
ベースもほぼエレキギターと帯同するエイトのダウンビートであまりしゃしゃらず、調和を最大に尊重しています。
ドラムスがシンプルに轟きます。キックとスネアのパターンはいたってシンプル。おいしいところでフィルインの轟音。かみなりが落ちたみたいにキマります。
右のエレキのちかくにピアノもきれいなサウンドをそえます。左が結構あいていて、右の和声&リズムがギター&ピアノで重めになっています。そのぶん、BGV(字はも)やストリングスやシンセのような透き通るウワモノが左の空間に味わいやすい感じがします。
複数の字はもがいて、「みんなで絶好調で歌う!」フィールがいっぱいに出ている原曲サウンドです。これはカラオケで好まれるのがわかる感じです。WikipediaによればWANDSの上杉昇さん、宇徳敬子さん、大黒摩季さんがコーラスにいるようで、ひとりでもバリバリ歌うひとによってパワフルなBGVが構築されているのがわかります。
作曲がオダテツ(織田哲郎)さんですね。和声の機微や起伏、映えるメロディ、まっすぐなリズムがこれぞ。大衆歌の王道のひとつを提示するようです。西城秀樹さんの歌った『走れ正直者』など思い出します。
青沼詩郎
公式サイト MIHO NAKAYAMA OFFICIALへのリンク
『世界中の誰よりきっと』を収録した中山美穂の『All Time Best』(2020)
ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『世界中の誰よりきっと(中山美穂 & WANDSの曲)ギター弾き語りとハーモニカ』)