原田知世さんの音楽
辻村兄弟による音楽ユニットのキセルが私はとても好きです。キセルの辻村豪文さんが原田知世さんに『くちなしの丘』という楽曲を提供しています。
原田知世さんの楽曲は、とくに初期の年代のレパートリーはサブスクリプションなどで聴くことができず、CDやレコードなども価格高騰した中古品がみられるくらいで現在(執筆時:2024年)は平常な値段で新品を買うことがむつかしいように思います。
ところで、季節にまつわる歌を日本の人は好きだなと思います。無根拠にそう思っていたのですが、私は耳コピしたカバー曲の弾き語りをいちにち一曲ユーチューブにさらす活動をしておりまして、そこで反応をくれる日本の方の様子から、日本の方は季節にまつわる歌が好きだなというのがあながち嘘(無根拠)ではないように思えてきます。
先日、ユーチューブのコメント欄でおしえていただいた素敵な曲が原田知世さんの『早春物語』です。
そう、これのオリジナル(最初期の発表)の公式な音源の入手がややハードル高め。
映画の主題歌になっています。原田知世さん本人が出演したものですね。このシングルバージョンがまずあるのと、その時期にリリースしたオリジナルアルバムに収録した『早春物語』がまたバージョン違いとなっています。このオリジナルアルバム『PAVANE』も、シングルバージョンを収録したシングル集やベスト集も、入手のハードル(中古価格などが)がやや高め。原田知世さんの人気と供給数のアンバランスを映しているのでしょうか。
1992年……オリジナルの『早春物語』を発表した年から7年ほどでしょうか、その時期のオリジナルアルバムにセルフカバーが収録してあり、サブスクで聴けます。これがいま、いちばん広くライトなユーザーがアクセスしやすい『早春物語』かもしれません。
原田知世さんの周りをさぐると、つながる作家さんやプロデューサーなどでも音楽の知見が広がります。原田さんまわりの魅力の一面かもしれません。
原田知世 早春物語 曲の名義、発表の概要
作詞:康珍化、作曲:中崎英也。原田知世のシングル、アルバム『PAVANE』(1985)に収録。映画『早春物語』(同年)主題歌。
原田知世 早春物語(1992年のアルバム『GARDEN』収録)を聴く
見事です。純然たる弦カル(2ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ)編成でしょうか。ひょっとしたらボーカルも同時演奏で一発録音でしょうか。コンサートホールのような静謐で孤独な空間がうかがえる音響感が、さびしくて美しいです。
弓のトレモロの刻みで風や宇宙の輪廻を表現するようです。ワルツ……3拍子系でしょうか。2拍目にアクセントがあり、かろやかにはねるようなグルーヴ感もあります。この1拍を3分割するようなビート感になったり……地球上のいろんな景色をめぐるみたいに揺らぎ、様相をかえる弦カルサウンドと原田さんのボーカルの嘆くような息吹がブラヴォー。私がなんとなく思い出すのは、火の鳥(手塚治虫)。広い時空にまたがって宇宙をめぐっている気分になるような美曲・美演です。
青沼詩郎
『早春物語』セルフカバーを収録した原田知世のアルバム『GARDEN』(1992)
ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『早春物語(原田知世の曲)ギター弾き語り』)