まえがき
不気味なまでに潰れたサウンドが、まるで聴いている私の脳までトロけたのじゃないかと惑わせます。「あやしい」は「怪しい」でなく「妖しい」、妖艶。誉めています! アコースティックな楽器の響きなのですがポキンポキンとピックではじいたような低音域、チェンバロのようなキランとした古楽器にペカパカとコンガ、同音チョーキングのうねりの響きとリズム補完。妖しいの極めつけはドノヴァンのリードボーカルの中庸な音域のねっとりとした響き。ブラボーなサイケ感です。
Sunshine Superman Donovan 曲の名義、発表の概要
作詞・作曲:Donovan。Donovanのシングル、アルバム『Sunshine Superman』(1966)に収録。
Donovan Sunshine Supermanを聴く
モノラルですね。非常に極端なバランスなのに成立している感じが不思議。妖しいです。ペカンと衝突音と短い余韻がするのはコンガかとい思ったのですが普通にドラムキットのスネアやタムの音なのか。低域までよく聴こえるヘッドフォンで聴くとかえってよくわかりません(汗)。
ズゥンと低域がすごいんです。ベース音はもちろん、ドラムのタムなどの轟音なのか。
チャキチャキとアコギのピックのストラミングのアタック音が輝かしく、ズオォォとわけがわからないくらいに轟く低音域にハリとみずみずしさを与えます。声と一緒にアコギを1発録音の弾き語りで声のマイクにもアコギのピックのチャキチャキがカブっているのかなというくらいにアコギのアタックがよく出ています。このズォォという低域のすごさと耳をつくピックストラムのアタックのバランス感もギリギリの線でキワドくて妖しい!
ねっとりとしたボーカルの声質や声域ももちろん妖しいですが、リードボーカルの半音でぬるぬるとすべるようなメロディラインも妖しい。短2度の感覚で微妙な距離感を詰めるかと思えばはっきりと大胆な跳躍音程もふんだんに含むボーカルラインがコントラストに富んでいてサイケです。
低域のアコギやベースなのか、特に完全5度のあいだに磁力か何か発生していそうな時空がねじれそうなコンプの潰れ感。これもはやアウトか、いや、アリです、そう思わせられてしまうドノヴァン教にもはや入信してしまっている私です。
彼(ドノヴァン)にスリーフィンガーを習ってDear PrudenceやJuliaを作ったというジョン・レノンの話も有名です。
青沼詩郎
参考歌詞サイト Genius>Sunshine Superman
『Sunshine Superman』を収録した同名のDonovanのアルバム(1966)