Swanky Street the pillows 曲の名義、発表の概要
作詞・作曲:山中さわお。the pillowsのシングル(1996)、アルバム『Please Mr. Lostman』(1997)に収録。
the pillows Swanky Streetを聴く
伸びやかなサスティン、かつ鋭くエッジーなギター。バカスカと時空を捻じ曲げてしまいそうなエネルギーの塊みたいなドラムス。サポートであってもベースのサウンドとプレイが適確十分以上のはたらき。山中さんの繊細で爆発的な感情を博愛の白布いっぱいに浸してぎゅっと絞って抽出したみたいなポエジーなリードボーカル。このサウンドの体(テイ)をしていてくれさえすればもうなんでもアリなのです。the pillowsになんにもああだこうだいうことはありません。すべての言葉が陳腐。すべての疑問符は灰色。この音だけがすべての答えでありエピックなのです。
バミョーンと開放的なギターの長い長いサスティン。直線的な8ビートの分割。さすがにエレキシタールではないはずですがまるでシタールみたいにミョンミョンとうねりかえし、ドローン(保続)するギター類のサウンドにリードボーカルの思念が漂います。
ドラムはバコバコと爆裂するサウンドが快感で、タイム感が独特です。数フレーム分になるかならないか、わずかな差異ではありますが後ろにモタっているようなドラムのタイム感が、めくれ上がるようなバンドのサウンドにレイヤーの深みを与えます。
ベースについてですが、たとえば別のthe pillowsレパートリーになりますが『Funny Bunny』ほどに視線を引く独特のフレーズではないにせよ、ベースの点と線の動きも適確でバンドのカメラを固定する地盤を確かなものにします。
リードボーカルが残響をまとって航空機から地平線を見下ろしている気分。コーラスで絡むハーモニートラックのボーカルが旋律の味わいをふくよかにします。
音楽がいきたがるほうへ、サウンドも言葉も導いていく。こうなる運命だったと思わせる意匠なのです。
“Swing god gun, I need it low demon”……“信号が何色でも”との超次元的なタブルミーニングももはや地平の永久の安寧を司る神様に祝福されたとしか思えない。最高です。
普遍の感性を超越した洒落っ気。視覚? 聴覚? 第六以降の感性で認識する道“street”を拓きます。
青沼詩郎
参考Wikipedia>Please Mr. Lostman
『Swanky Street』を収録したthe pillowsのアルバム『Please Mr. Lostman』(1997)
ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『Swanky Street(the pillowsの曲)ギター弾き語りとハーモニカ』)