まえがき 間寛平さんへの提供曲
迷路、カレーうどん、十四才、21世紀音頭など音楽の才覚はじける傑作アルバム『HOTEL TIKI-POTO』収録作。14曲中12曲目で、振れ幅ある楽曲のメリハリある連なりを一蹴し一旦私の頭の中を爆破するような快作が『天国野郎ナンバーワン』。
間寛平さんへの提供曲で、『天国野郎』と題されて彼のミニアルバム『ジャングル野郎』に収録されています。そちらは歌詞が違っているようで、ハイロウズバージョンは『天国野郎ナンバーワン』と題されています。J-WID(ジャスラック登録検索サイト)上で確認すると『天国野郎』と『天国野郎ナンバーワン』はそれぞれ分けて登録があります。
天国野郎ナンバーワン THE HIGH-LOWS 曲の名義、発表の概要
作詞・作曲:真島昌利。THE HIGH-LOWSのアルバム『HOTEL TIKI-POTO』(2001)。
THE HIGH-LOWS 天国野郎ナンバーワン(アルバム『HOTEL TIKI-POTO』CD収録)を聴く
私の両耳をはさみこみ、金属的なシャンシャンとエッジの立った元気で派手でオープンなエレキギターのサウンドで貫きます。これはどんなカフェインよりも薬理効果よりも強壮効果があるのではないか。音楽の刺激はこの世でナンバーワンのマジックです。
快活極まるテンポで、エレキギターの刻みが一番細かいリズムの分割のベーシックを担います。
ドラムのハイハットやライドなどのシンバルは1小節4つを基調に、キックのオモテ・ウラやフィルインで8ビートを出します。ベースのぐりぐりと押し出すストロークの頻度とサウンドの質量感が天国へ跳ぶための盤石な地面です。
この強固でかつオープンな音の舞台のうえでならもはやヒロトさんがどんなに自由にふるまってもふるまうほどに最高になって行くの決定フラグ。
間奏の転換点で「フンガ!」「オイ!」と左右にガヤボーカルが振り分けられ、耳の心を奪います。ライブで観客と一緒になってこのフンガ・オイを演ったら最高に楽しいだろうな。
サビが最後に繰り返されるところで一瞬エレキギターの3本目のコラージュがほどこされ、マイナーなくすんだ響きが加えられ、天国の甘いばかりでない厳しさの稲光と暗雲が差します。
エンディングはギターにフランジャー的な効果がかかります。上昇気流を掴むジェット機か。天国まっしぐらです。8小節ポッキリでバッサリと終わって次曲『アダムスキー』につながる。天国に無事頭をぶっさせたね。メデダシだ。漫画みたいなキレ味。爆発的なコミカル・デフォルメ感が詰まった傑作です。
間寛平 天国野郎(ミニアルバム『ジャングル野郎』収録)を聴く
一行、一句ごとを頭からおしりまで確かな声量でマイクロフォンのなかに流し込む歌唱が直滑降すぎるが曲想によく合っています。
テンポちょっとおそめで専業ミュージシャンでない間さんにもやさしめ。歌詞がハイロウズの天国野郎ナンバーワンと違っています。
途中でキメキメのリズムの急変があり、天国にも起伏があるのを思わせます。
オイ!と、ガヤボイスの強烈な残響とともに霧散するエンディングはまさしく天国の表現でしょう。儚いね。
青沼詩郎
『天国野郎ナンバーワン』を収録したTHE HIGH-LOWSのアルバム『HOTEL TIKI-POTO』(2001)
『天国野郎』を収録した間寛平のミニアルバム『ジャングル野郎』(2001)