The Cruel War 悲惨な戦争 Peter, Paul and Mary 曲の名義、発表の概要

原曲は作詞・作曲:パブリック・ドメイン。Peter, Paul and Maryバージョンの作詞・編曲:Peter Yarrow、Noel Stookey。Peter, Paul and Maryのアルバム『Peter, Paul and Mary』(1962)に収録。原曲は19世紀あるいは18世紀半ば〜後期程度まで起源を遡れるとする説がある。

Peter, Paul and Mary The Cruel Warを聴く

きれいな密集配置の和声が終始、柔和で甘美。3和音の美しいハーモニーを味わうのにこれ以上のおあつらえ向きがあるでしょうか。

真ん中に女声のリード。右に低声、左に中声を配置します。右側寄りにずんと深いコントラバス。オープニングで指弾きしていますがほかは全編アルコ(弓弾き)しています。

ベースがブゥンとアルコで長い線を描きますので、リズムの分割はもっぱらギターのアルペジオです。両側に振ってあるでしょうか。このギターがもっとも細かい音価を担当します。悠然としたビート感は2/2拍子っぽいフィールです。

ボーカルのストロークも悠然としており、伸びやかな発声で和声音程の調和した響きを豊かに出していきます。同一の音の景色が最初から最後まで継続する。ワンシーンの朗読劇みたいな趣があります。この意匠が、ひたすらに「(私を戦争に)連れて行って」「それは聞き入れられないんだ。わかっておくれ……」「あなたと一緒に、ずっといたいのに」「(それはそうだよ、そうに決まってる……)」というような、何も結論の変わらない悲しい嘆きを表現するかのよう。最後には「No」だった嘆きが「Yes」に変わってしまいますが、これは表面上のことで何も結論が変わっていない。わかった、もうわかったから……答えの変わらない嘆きはもうこれでやめにしよう、というための「Yes」ではないでしょうか。

青沼詩郎

参考Wikipedia>悲惨な戦争

参考歌詞サイト AWA>The Cruel War

『The Cruel War(悲惨な戦争)』を収録したPeter, Paul and Maryのアルバム『Peter, Paul and Mary』(1962)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『The Cruel War 悲惨な戦争(Peter, Paul and Maryのカバーが知られるトラディショナル・フォーク・ソング)ギター弾き語り』)