反復運動ダンスアンセム
ロコモーションとは機関車の反復運動を模したようなダンスのこと。
機関車を意味する単語locomotiveに由来するといいますがさらにその語源をたどればmotionにlocoがひっついたことによるものでしょうか。両腕を前に伸ばしては引っ込める単純なダンス。曲に合わせて踊りたくてシングルが売れたといいます。
ソングライターはジェリー・ゴフィンとキャロル・キング、公私のパートナー同士です。
リトル・エヴァのキャリアにおけるアルバムはこの曲を表題した一作のみ。
ダカダカ!とスネアのオープニングはなんだかローリング・ストーンズの諸作品にみられるフィルインと共通性を感じます。「Come on」のフレーズの用いっぷりにはThe Beatlesの『Please Please Me』、『Hippy Hippy Shake』(チャン・ロメオオリジナル)なども思い出します。大衆・商業音楽の醍醐味、その起源一帯が楽曲『The Locomotion』には表れていやしませんか。
ズブーンと野太いサックス、ひとなつこいボーカルメロディが記憶に残ります。
カイリー・ミノーグのカバー(1987)あり。
The Locomotion Little Eva 曲の名義、発表の概要
作詞・作曲:Gerry Goffin、Carole King。Little Evaのシングル、アルバム『Llllloco-Motion』(1962)に収録。
Little Eva The Locomotion(アルバム『Llllloco-Motion』収録)を聴く
ぎゅぼーん、ばふぅーーん!と巨大な力を感じさせるサックスの音色、そうかこれが機関車の象徴なのですね。
手持ちのヘッドフォンで聴くに、低音が非常に豊かで太いです。ベースのズボン、ズボンというストロークポイントが力強い。踊りを誘発するビートです。ドラムスのキックとおそらくアコースティックであろうベースの音色の棲み分けがもはやわかりません。スネアはダカダカダカ!と走り出す荒々しさもありますが音色そのものは軽快で、バシ!とアクセントが決まっています。
イントロのズボーンと深く怪しい響きとはキャラクターを変えて、間奏のサックスはご機嫌でかろやかです。
和声をささえるのはアコースティックのギターのストラミングでしょうか。ピアノの音色っぽさにも似ますが両方入っているのかアコギだけなのかなんとも。モノラル音源ですので、いい意味で各パートが接着しています。
ウーワーウーアーとバックグラウンドボーカルの描線が常にキープ・オン。ははん、君たちさては線路だな。ベースやドラムスの打点はまるで枕木です。これらバックグラウンドパートの上で、リトル・エヴァの歌声がくねくねと揺れながら躍動します。ちょっとあどけないような感じの声質が身近に感じられて良いうえ、歌唱そのものは至って確かです。彼女の歌声の向こう側に、キャロル・キングの作家性かがやくメロディの精神がきちんと見えます。
エンディングはフェードアウトになっています。音量の減衰とともに音質自体も変化しながらすぼまる感じがいかにもアナログ時代のフェード・アウトっぽくて味わいがあって良い。今の時代の機材でオートメーションを描いてミックスダウンしたらこんなフェードアウトは決して得られないでしょう。
延々と続くロコ・モーション(ダンス)と現実の私がクロスします。私も動きたくなってきたのか、腰が浮いた気分です。こうやって人々の気分に作用して、当時もきっとシングルが売れたんでしょうね。音楽とダンス(モーション)がかけ合わさったときの増幅力たるや、前後の時代に渡ってロック文脈の人に好まれる要因の根底なのかもしれません。
Kylie MinogueのThe Loco-Motion
サウンドの解像度が爆増。いかにもな4つ打ちダンスビートに乗って、ズクズク・ブワーンとシンセがうなり、バックグラウンドボーカルがウーワーウーワーと描線や合いの手を入れます。バフーンと低めのサックスを模したようなサウンドはシンセで入れたのかな、生音なのかどうか。全体的にプログラミングやシンセ主体で構築した感じで肉体的な揺らぎの少ない、明瞭でブライトかつみっちりした質量感あるサウンドです。オリジナルへの考察と的確な抽出をもって、時代相応にリフレッシュしたカバーで彼女はキャリアを始めます(この曲がデビュー)。
青沼詩郎
参考歌詞掲載サイト 世界の民謡・童謡>ロコ・モーション Loco-Motion 歌詞の意味・和訳 カイリー・ミノーグやグランド・ファンクのカバーが有名 楽曲名の由来、豊富なカバー事例、“ハッスルもの”を並列して位置付け、歌詞の和訳を紹介している記事です。
『The Locomotion』を収録したLittle Evaのアルバム『Llllloco-Motion』(1962)