The Longest Time Billy Joel 曲の名義、発表の概要

作詞・作曲:Billy Joel。Billy Joelのアルバム『An Innocent Man』(1983)に収録、シングル・カット(1984)。

Billy Joel The Longest Time(『An Innocent Man』収録)を聴く

ある日ふとこの曲が私の頭の中に浮かんだのです。サウンドが流れ出すのですね。私は記憶のなかの音源を自分の意思とは関係なく意識の表層に自動で引っ張りだすことがあります。思い浮かんだときにその曲をすぐに聴ける便利さの点で、インターネットやサブスクリプションの音楽サービスはありがたいものです。思い浮かんだときにすぐにその曲の実物を聴けるというのは、精神衛生に良いのではないかと無根拠に思います。改めて聴いて「これこれ」と思うし、細部や全容までは強く自分に印象付けていなかったことに気づくこともあります。

私はビリー・ジョエルのリアルタイムの一挙手一投足を追い、常に彼のレパートリーを意識の中で反芻するにはあまりに未熟なファンです。それでも、ふと生活のなかで彼のサウンドが突然頭のなかで無意識に再生される。それほどの影響力と耐久性を持つすばらしい音楽を生み出すことについて、改めて尊敬の念で頭が下がります。

『The Longest Time』はア・カペラの印象ですが低音はエレクトリック・ベース。はりつくように近く、質量豊かなサウンドでボーカルのアンサンブルを支えます。

リードボーカルは柔和でかろやかで自由です。

中央付近に、和声をささえる声部が2パートくらいいるでしょうか。さらにびっくりするくらい高い声でときおりオブリガードやおかずをいれるパートも感じます。

この真ん中付近のバックグラウンドボーカルに加えて、左右に定位を広げるボーカルが両翼にいます。

ブリッジというのかBメロ的な部分で、「……ポン」「……ポン」「……ポン」「ゥーワーウーワ」と発音のタイミングをずらして定位の違うボーカルが立ち上がります。ウーワーウーワ……と音色を連続的に変えます。ボーカルが万能な楽器であるのを体現します。エレキギターでいったらワウペダルですね。

フィンガースナップ、指がパチンと鋭くアクセントをし、終止かるいグルーヴをキープします。

ボーカルのグルーヴがそもそも豊かで、リードボーカルひとつとってもリズミカル。リードボーカルトラックをまる裸にしてソロで聴いてもきっと溢れんばかりの豊かなリズム感があることと思います。これに、音像の近いベースがみっちりとした圧縮感を加え、パチンと弾ける指の2・4拍目のアクセントがそなわります。

リズミカルで抑揚と音程に富むリードボーカル、質量があって前に来るベース、2・4のアクセントの素朴で鋭いスナップでもうほとんどこれだけでも勝った!感ですがボーカルのアンサンブルが間を豊かに彩り、画用紙の余白に筆を走らせます。

1983年のアルバム収録作ですが、長い時間を経ても遠い国の遠い私の脳内に急にたちあらわれる音楽の遺伝子は強いです。

ボーカルトラックはビリーのひとり多重録音だそう。ベースは、ゲストプレイヤーでしょうか。

青沼詩郎

参考Wikipedia>ロンゲスト・タイム

参考歌詞サイト KKBOX>The Longest Time

参考歌詞和訳サイト>世界の民謡・童謡 The Longest Time 歌詞の意味・和訳 ビリー・ジョエル ドゥーワップのコーラスが特徴的なビリー・ジョエルの代表曲

ドゥーワップスタイルであること、またこの楽曲の影響元と思われる楽曲・アーティストとしてThe Tymes『So Much in Love』を記事冒頭付近に掲げ歌詞の内容の日本語訳を伝えます。

Billy Joel Official Site へのリンク

『The Longest Time』を収録したBilly Joelのアルバム『An Innocent Man』(1983)