The Scientist Coldplay 曲の名義、発表の概要

作詞・作曲:Chris Martin, Jonny Buckland, Guy Berryman, Will Champion。Coldplayのアルバム『A Rush of Blood to the Head(静寂の世界)』(2002)に収録。

Coldplay The Scientistを聴く

無念がからっぽの服を着て街を徘徊しているみたいなせつなさ。

ぱたぱたと器械の動作音まで拾っているみたいなピアノのサウンド、アップライト型のピアノの様なタイトでパーカッシヴな音色でもありますが耳にやわらかい。4分音符で表拍を強調します。8分を刻むアコギも冒頭付近からかさなっているのかと一瞬思いましたがピアノの左手側が8分割なのかもしれません。

マイナーセブンスやナインスの音程をぶつけたような曖昧な響きを含めた、パターンとしてはシンプルですが複雑な心境を物語るピアノのリフレインが楽曲の貴重になっていてこれが着地点を見定めかねたまま街を徘徊するような悲しい気持ちを私に強く植え付けるのです。

宅録したようなサイズ感のピアノの音響がフィルムの冒頭を描きますが、ボーカルの音場はウェットで冬空に向かって散っていくような広がりと長いタイム感を持っています。これもやはり着地点がなく儚い。

やがてアコースティックギターが友の肩をもつみたいにコードとリズムを支えます。

バンドがインすると街をさまよう眼のフォーカスがようやくくっきりし始めるよう。自分の身に起きていることを自覚・客観しはじめたような味わいがあるバンドの支えはごくシンプルにエイトビートを敷き、壁や内装を与えます。ストリングスのサスティンが減衰系のベーシックに後ろ髪を引くような余韻を与え、主人公のさまよう軌跡に長い尾を残し鑑賞者の私がそれをたどる図式です。

恋や愛に科学も方程式もない。あるのは誠実だけです。……と非Scientistな私が云う。誠実すらも含めて科学や方程式や真理なのだとScientistだかmathematicianの私が言葉を返す。じゃぁテメェは恋や愛の未来のすべてを展望して、わかっていらっしゃるんだねと感情屋の私が口をはさむ。テーブルは着地点を見失って朝を迎えるのです。

青沼詩郎

参考Wikipedia>静寂の世界

参考歌詞サイト KKBOX>The Scientist

Coldplay 公式サイトへのリンク

『The Scientist』を収録したColdplayのアルバム『A Rush of Blood to the Head(静寂の世界)』(2002)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『The Scientist(Coldplayの曲)ピアノ弾き語り』)