まえがき
The Beatlesが『With the Beatles』に収録しているこちらの楽曲、出自はミュージカル曲でした。 曲タイトルは当初『Till I Met You』。ブロードウェイ・ミュージカル『The Music Man』(1957)の劇中歌。最初の録音はアイリーン・ウィルソン(Eileen Wilson)による、1950年のもの。
ビートルズ・バージョンは堂々としてかつ脱力感もあるポールの歌唱が達者。小節線(bar)をさらっといなすように飛び越えるリズムの意図的な揺らぎがカジュアルで快いです。
アイリーン・ウィルソン・バージョンの『Till I Met You』はスロージャズ。フルート、ピアノを筆頭に木管、ミュートの効いたトランペット?など管楽器の音色がリッチ。パサっと軽いフィールで拍頭を撫でていきたくなるリズム感と、ゆっくりたっぷりな歌唱が魅力です。
Till There Was You The Beatlesもカバーしたミュージカル曲 曲の名義、発表の概要
作詞・作曲:Meredith Willson。アイリーン・ウィルソン(Eileen Wilson)が1950年に録音。ブロードウェイ・ミュージカル『The Music Man』(1957)の劇中歌。ビートルズによるカバーは 『With the Beatles』(1963)に収録。調性メモ:The Beatlesは in Fでパフォーマンス。
The Beatles Till There Was You(『With the Beatles』収録、2009 Remaster)を聴く
左に楽器。右にポールの歌唱の構図です。
右で歌唱にかかったリバーブが長く気持ち良い。ちょっとベチっとしたアタック音が右トラックの歌唱に混入している感じがするのは、ベースを弾きながら歌っているからなのでしょうか。海辺の洞窟みたいな澄んだ響きを想像します。
左にいるギターがナイロン系の弦なのか、みやびな響きです。ストラミングのギターにしても、ナイロンギターのリード・カウンタープレイにしても、はずんだ躍動感があります。いいグループですね。
トチトチとボンゴの音が高くてかわいい。スティックで叩いているみたいな粒だちです。
ドラムレス編成が身軽。酒場で酔った客にその場にあるものでちょっと何かやってよ!と軽いノリでミュージシャンに要求、それに応えてこれをやられたら拍手喝采ですよね。なんだよおまえらビートルズかよ、上手いわけだわ……って、私は一体なにを言っているのやら(酔っている?)。
青沼詩郎
参考歌詞サイト Genius>Till There Was You
The Beatles ユニバーサルミュージックサイトへのリンク
『Till There Was You』を収録したThe Beatlesの『With the Beatles』(1963)