Time of the Season ふたりのシーズン The Zombies 曲の名義、発表の概要

作詞・作曲:Rod Argent。The Zombiesのアルバム『Odessey and Oracle(オデッセイ・アンド・オラクル)』(1968)に収録。翌1969年、シングルカット。

The Zombies Time of the Season ふたりのシーズン(『Odessey and Oracle(オデッセイ・アンド・オラクル)』収録、モノバージョン)を聴く

(トラック名にモノバージョンとあるのに余裕で定位がついているのはなぜ? 謎に震えます)

1拍目ウラでクラップが鳴る。2拍目ウラで「ックァー!」っとビールを煽った直後みたいな漏れる吐息。2拍目オモテにはスネア、4拍目は表と裏を強調するタム。これと。4拍目のオモテからのアウフクタクトのフレージングになっているベースのリフがくみあわさります。伴奏の成分のほとんどはこのドラムとベースだけなんです。

ヴァースなどではオルガンが申し訳なさそうにちょっとだけ嘆きをこぼします。ポヒ。(……ん? いま、なんか言った?)

音の風通しがきわめて良い。ボーカルが寂しげに響くほどです。でも満たされている私の耳。タムなどドラムの音がリッチに響きます。

コーラスのあたりでようやくエレキギターが鋭くひずみのある音色でリズムにエッジを与えていきます。

風通しの良いサウンドのなかでバックグラウンドボーカルのハーモニーが映えます。色彩、光の加減の表現です。和声に敏感。コーラスの終わり付近、It’s the time of the season for lovingのあたりの響きのうつろいなど極上です。このために風通しのよいサウンドメイクがあったのだ。ヴァースでもサイドボーカルは嘆きをこぼす。オルガンのフレージングみたいに。歌詞、少ない語数でチャチャを入れます。あーとかうーとか伸ばすのでなく……主人公のなかの分裂した人格が勝手に思考にノイズを加えてくるみたいな、音数少ないからこそのサイケ感、極彩色感、陶酔感が絶妙なのです。

きみ、なんてぇの?(名前) きみのダディはどいつだ? 僕みたいな金持ちかい? この子をどこに連れ去ろうというのか、めちゃ不審人物じゃないですか?(だいぶ違う?)

ヴァースは音数が少ない。コーラスにしたって音数が多いともいえないが、声のレイヤーはリッチ。そして一気に襲いかかるみたいに間奏と後奏でオルガンが高鳴ります。ドラムのリフの堅実な保持から、ぐいぐい攻めるプレイをみせます。激しい、激しい。オルガンが右寄りと左寄りに別パートでそれぞれ入っているでしょうか。

この楽曲の作曲者はメンバーのロッド・アージェント。バンドのキーボーディスト。ギター中心でない曲づくりにもうなずけるかな。

妖艶で、でもボーカルレイヤーが入ってくるとパンと明るくもある。振り幅の大きい……極端な曲想を同居させた妖怪じみた魅力があります。振り返ったら何かいるかも……みたいなおどろおどろしさ。

青沼詩郎

参考歌詞サイト JOYSOUND>Time of the Season

参考Wikipedia>オデッセイ・アンド・オラクル

『Time of the Season(ふたりのシーズン)』を収録した『Odessey and Oracle(オデッセイ・アンド・オラクル)』(1968)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『【寸評つき】色気とアンニュイの洋ロックリフ名歌 Time of the Season ふたりのシーズン(The Zombiesの曲)ギター弾き語り』)