トランジスタ・ラジオ RCサクセション 曲の名義、発表の概要

作詞:忌野清志郎、G.1,238,471。RCサクセションのシングル、アルバム『PLEASE』(1980)に収録。

RCサクセション トランジスタ・ラジオ(アルバム『PLEASE』収録)を聴く

忌野清志郎さんの歌声はまるで空を行き交う電波です。自由。とりとめのないようでいて哲学の芯だけを取り出したよう。気持ちのよいところに音程を一瞬突き刺したかと思えば瞬きをした次の瞬間にはもうほかの対象に視線をやっているような気まぐれさ。エンディングに向かうフェイクがニヤリとさせます。「hit hit baby」「be-be-beatbox」……一体マイクの前でどんなパフォーマンスをしているものか。ハンドヘルドタイプのマイクを振り回しているみたいな(妄想の行き過ぎた)画が頭の中に浮かんでしまいますが、スタジオ録音でそんなわきゃぁないか……録音作品とステージパフォーマンスの垣根を下げてクロスさせている……RCサクセションや忌野さんの作品に触れるとそんなことを思います。

直線的なビートをまっすぐなベースラインが印象づけます。ドチドチとキックのアタック音がはじけ、明瞭なタムの音は五線譜に落ちるオタマジャクシのように鮮やかな生命感。

右と左にエレキギター。右がリズム。左にバックグラウンドボーカルのモチーフを再現するエレキギター。

曲の中ほどでブーストしてロックを乗せたジャンボジェットが私の頭をかすめます……ロックを乗せたというか、このジェット機がロックそのものなのかな。降臨する……降りてくる強大な圧を感じます。

ロックの定義ってあいまいです。エレキギターをもってステージに立ったらだいたいロックみたいに、あまり音楽に熱心でない一般の人は思うかもしれませんがもちろん世にはエレキギターを用いないロックがたくさんあります。ロックは精神であるとする解釈もあります。一体なんなんだ? ここでは降りてくる圧、としておきましょう。

サックスのハーモニーが機嫌よく踊ります。バックグラウンドボーカルのオブリガード、リフレインのみずみずしさはリードボーカルやバンドの空間を超越した天国から鳴っているみたいなサウンドです。

ベイ・エリアから リバプールから

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彼女 教科書 ひろげてるとき

ホットなメッセージ 空にとけてった

『トランジスタ・ラジオ』より、作詞:忌野清志郎、G.1,238,471

外国のラジオって普通に受信できるのかな。今はスマホアプリで世界中のラジオが聴けてしまいます。当時はどうすれば海外のラジオが聴けたのだろう。ラジオで自分の投稿したメッセージが読まれると空に飛び上がる思いがします。嬉しいよね、ホットな気持ちになります。あるいは誰かの寄せたメッセージが自分のことのように思えることもあります。それもホットな気持ちです。ラジオって良いよね。

ああ こんな気持ち

うまく言えたことがない ない

『トランジスタ・ラジオ』より、作詞:忌野清志郎、G.1,238,471

気持ちはうまく言えません。だって、気持ちだから。言葉じゃないものを言葉にしたら、ねじまがるに決まっています。でも、だからこそうまく言えない気持ちをあの手この手をつかって表現しようとするのです。語彙を毎日収集しては自分の観念に漬け込んで、だんごにして、己の表現マテリアルを培います。それで、少しは気持ちと言葉が近づく。それでも完全にひとつにはなりません。だから、うまく言えない気持ちを表現するための物語に終わりがない。

空を交う電波のように自由でいたいです。

青沼詩郎

参考Wikipedia>トランジスタラジオ (曲)

参考歌詞サイト 歌ネット>トランジスタ・ラジオ

RC SUCCESSION ユニバーサルミュージックサイトへのリンク

『トランジスタ・ラジオ』を収録したRCサクセションのアルバム『PLEASE』(1980)

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