VOYAGER〜日付のない墓標 松任谷由実 曲の名義、発表の概要
作詞・作曲:松任谷由実。松任谷由実のシングル(1984)。同年の映画『さよならジュピター』主題歌。
松任谷由実 VOYAGER 〜日付のない墓標
やさしいのに冷たくて、儚くて胸がしめつけられる苦しさと清涼感の板挟みに声のないうめきが出そうです。
テーマ(主題)が壮絶です。無人探査機ボイジャーを扱います。
打ち上げ年月日をみて驚いたのです。1977年ですって。もうすぐ50年になろうとしています(この記事の執筆時:2025年)。現役で信号のやりとりができるみたいですが、信号の送信だけでも17時間(片道)かかるとか。むしろ17時間かければ信号が届くことだけでもすごいか……感覚がバグってしまいそうです。
その稼働も2025年頃には停止する見込みのようで、1977年からの宇宙の旅は50年を目前にして閉じようとしているのかもしれません。
といった具合にユーミン(愛称で失礼します)の楽曲を離れて雑学摂取にふけってしまいそうなくらい主題(作曲テーマ)が秀逸で卓越しています。
それをコンパクトな詩で表現する鋭さ、ある種の非常さ・残酷さと同時に、
“私があなたと知り合えたことを 私があなたを愛してたことを 死ぬまで死ぬまで誇りにしたいから”(『VOYAGER〜日付のない墓標』より、作詞:松任谷由実)
と、対象への確かな愛を強くしたためます。
エレピだかシンセ鍵盤系の音、ギターの空間だか残響系のエフェクトのかかった音が非常に冷たく、宇宙遊泳(遊泳……でなく確かな探査)する機器の無機質さ、宇宙の冷たさを思わせます。
リムショットの音色なんてどうやったらこれほどまでに澄んだ音色が鳴らせる・収録できるのでしょう。各種の音がスッキリしており、余計なものを持っていけない宇宙の厳しさを思わせます。
対してかベースのサウンドが太くあたたかい。キックが輪郭をそえ、ピタリとよりそいます。
ユーミンの自身の声によるバックグラウンドボーカルもスッキリとしたサウンドで、ギターや鍵盤のかもす滑らかな表面のしつかんとちりつく冷たさを思わせ、詩の表現する非情な世界を精細に彩ります。
「死ぬまで」といった現実的でハッキリ・キッパリした語彙が私に深く鋭くささります。彼女の最初期の代表作、『ひこうき雲』などにも同じ空が通じていると思わせる。温かくも鋭く儚い作風が孤高の至り。ボイジャーの功績や現在地と共鳴するみたいに。オトが届かない真空を思念が貫きます。
青沼詩郎
参考Wikipedia>VOYAGER〜日付のない墓標、ボイジャー計画
『VOYAGER〜日付のない墓標』を収録した松任谷由実のベストアルバム『Neue Musik』(1998)
ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『VOYAGER〜日付のない墓標(松任谷由実の曲)ピアノ弾き語り』)