Wonderful World Sam Cooke 曲の名義、発表の概要

作詞・作曲:Herb Alpert・Lou Adler・Sam Cooke。Sam Cookeのシングル、アルバム『The Wonderful World of Sam Cooke』(1960)に収録。

Sam Cooke Wonderful World(アルバム『The Wonderful World Of Sam Cooke』収録)を聴く

Ⅰ→Ⅵm→Ⅳ→Ⅴは、この世でたったひとつだけのコード進行を宇宙人に刻み残しなさいといわれたら選んでもいいのじゃないかと思えるほどに鉄板のコード進行ですが、あらためてこのワンダフル・ワールドを聴きますとペンタトニックの音階とも相性が良いなと思いますね。ときおりベースがⅵの音を点々ととりながらコミカルに動いていく様子を聴き取って思います。

ギターが案外細かいアルペジオのような、絢爛で達者なプレイをしているでしょうか。モノラルで音が良い意味で混ざっているのでギターフレーズの細部は不明瞭です。動いていて華やかなのは伝わってきます。

ドラムの音がパシっとタイトです。アクセントのエッジ感が際立っているのですが、通常の木のスティックではなくロッド等で叩いているのかと思うくらいに、聴き心地のかろやかさを両立しています。

アコースティックのトゥントゥンという余韻の収縮するベースの響き、ナイロン系の弦をおもわせるアコースティックのギター、パシっとアクセントするドラム。楽器隊はもうこんなもの。

サムのほかに2人くらいバックグラウンドボーカルがいるでしょうか。「biology」などの具体性が印象的な歌詞の末尾のフレーズをサムのリードボーカルに重ねます。エンディング付近でサムがフェイクを執りはじめてもこのパターンを守ります。このときばかりはまっていましたといわんばかりにぐっとマイクに近づいてきたみたいな感じがします。低いパートの声がイケボな感じです。

学歴の高いカンジ……すなわちエリートコースの外をいく感じの主人公を思わせるヴァース。でもガンバって自分なりに生きていて、自分の愛するもののために生きたり、尊重している人の愛を受けるのにふさわしい人物になろうという体温を感じます。

トータス松本さんの歌声でこの楽曲を私は初めて認知しました。彼は独自の日本語詞で歌っていました。その瞬間はトータスさんのオリジナルソングだとまずは思い込むわけです。なにせご本家の存在をその時は知らなかったものです。「ドント・ノウ・マッチ・アバウト……」のところに「どの街まで行けば……」という日本語詩がつく。ダジャレみたいでもありますが沁みるのです。

青沼詩郎

参考Wikipedia>ワンダフル・ワールド (サム・クックの曲)

参考歌詞サイト AWA>Wonderful World

アルバム『The Wonderful World of Sam Cooke』(1960)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『Wonderful World(Sam Cookeの曲)ウクレレ弾き語り』)