ZING ZING 荒木一郎 曲の名義、発表の概要
作詞・作曲:荒木一郎。荒木一郎のアルバム『荒木一郎の世界』(1971)に収録。『ゴールデン⭐︎ベスト 荒木一郎の世界+12』(2015)が入手しやすい。
荒木一郎 ZING ZINGを聴く
zingとは熱量や活力がある様子、あるいは「ブーン」「ヒューン」といった風を切る感じの様子を表す語句だと検索で出てきますがネイティブの人にとってもそういうニュアンスであっているのでしょうか。要はほとんどイミない……は暴言ですけれど、動いているイメージ、フットワークの軽さ、感情や心の揺れ動きや生命感の表現がこの楽曲のタイトルの意図かなと想像します。
荒木一郎さんの甘く低くささやく歌唱は脳髄を溶解させんばかり、トロけてしまいそう。
気障で冷静で優しげで余裕があるのです。器が広いのです。「スタイル」に扮する機微をわかっていらっしゃる感じがするのです。作曲家としての荒木一郎を感じますし、ステージに立つエンターティナーとしての度量も感じます。楽曲の主題が軽やかに恋を歌うものだからこそ、そういう荒木一郎さんの人物のデカさが素直に味わえるのです。
サウンドが軽やか。ドラムスがかろやか。GSっぽいぎすぎすっとしたバンドサウンドがはじまるのかなとオープニングのリフあたりから期待するのですが、ドラムが平熱でメインの刻みはアコギ。ベースがピキピキとやはり快活でフットワークが軽い質量感。甘く広がりのある荒木一郎さんの歌声のために風通しよいスペースが確保されている感じです。スチャッとアクセントする軽いエレキギター。ポワポワと揺れ、はじける彩りを添えるオルガン。ストリングスはヒィーっとごく脇役として軽く羽毛のように帽子を彩るくらいのタッチです。
息を吐いたら飛んでいなくなってしまいそう、それをわかった洒脱がオトナな感じなのです。粘着、執心しない。歌詞では“あきらめられないぜ”なんて歌っているのですが……「〜ぜ」という口調も、荒木さんが歌うからこその軽さがあります。たまらんぜ。
青沼詩郎
『ZING ZING』を収録した『ゴールデン⭐︎ベスト 荒木一郎の世界+12』(2015)
ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『ZING ZING(荒木一郎の曲)ウクレレ弾き語りとハーモニカ』)