作詞:高田ひろお、作曲・編曲:佐瀬寿一。のこいのこのシングル(1976)。『ひらけ! ポンキッキ』挿入歌。

きょう発売された歌です!といわれても信じてしまいます。すごいいい音。鑑のようなアレンジメント。

のこいのこさんのはつらつとした歌声たるや。伸びやかで埋もれません。ビブラートのゆらめきも塩梅が気持ち良い。低いところにさがっていったときのニュアンスも気持ちよい。からだと空間が一緒になって鳴っているようで、ボーカルの鑑と称えたいです。

「ぼく」の視点でママの一日の様子を追ったシンプルな構成。時間刻みでママを追っていきます。ほとんど一緒にいてこその観察に思えるので、「ぼく」は未就学児くらいなのでしょうかね。

午前はパキパキ……いえ、「パタパタ」はたらくママの様子が伝わってきます。午後は午前と対照的。テレビ鑑賞、居眠り、つまみ食い。おふろも沸かしすぎてしまうようです。“ピュクピュク”なる擬音語は初めて出会いました。どんな給湯システムかにもよるでしょうが、「なんかわかる」感じもします。前半の“おなべ ケロケロ だいどころ”も「わかる」感と共に、独特です。ふたを蒸気が跳ね上げるともなく煽り続けて、カタカタと音を立てているような感じでしょうか。沸騰して気泡がぽわんぽわんいっている様子も「ケロケロ」には含まれて感じます。

パパの靴をピカピカに磨いたり、嬉々としてパパの帰宅を迎えているような様子。女性が献身的にみえかねない様子を描くと「前時代的」「古臭いもの」になりがちにも思えますが、『パタパタママ』はその時代の気風を映す気配もありつつ、絶妙なラインでいやらしくなったり「見当違い」だったり「萎える」ようなものになったりすることなく、すがすがしく、全力で、ずぼらでちょっとかわいくもある塩梅をいっています。

作詞作曲編曲の妙であるとともに、のこいのこさんのボーカルのキャラクター、各パートの演奏が楽しく機能しあって活気がシナジーしてまわったような好印象です。エレキギターの「ロック好き」な感じもたまりません。元気ですし刺激的です。ストリングスも入って大衆歌としてのボリューム感・スケール感・満足感もそなえつつ、“ママよくたべる”でオチもばっちり。一日のおわりとともに、ぼくの就寝がにおわされます。モチーフ“パジャマ”と主題のパタパタの韻がばっちりです。「」ってすごいな。パチパチ(拍手)。

青沼詩郎

参考Wikipedia>パタパタママ

参考Wikipedia>のこいのこ

ビクターサイト のこいのこ

参考歌詞サイト 歌ネット>パタパタママ

『パタパタママ』を収録した『のこいのこ大全』(2006)

『パタパタママ』を収録した『のこいのこ大全リターンズ』(2012)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『パタパタママ(のこいのこの曲)ギター弾き語りとハーモニカ』)