ガロのアルバム曲
時候の挨拶ってステキですね。日本らしいと思います。四季がある国だからでしょうか。もちろん他国にも四季はあるでしょう。島国で、ガラパゴスと揶揄される向きもある日本だからこその四季があります。
タンポポには日本のものとセイヨウタンポポなるものがあるとかないとか。日本のほうがはんなりと曲線美がしなやかでセイヨウのほうがパキッ、シャキッとした印象です。適当言っています。
春らしい記号の含まれた楽曲。それ自体を主題にした楽曲などいいですね。
ガロは学生街の喫茶店で有名になった向きがあると思いますが、いい音楽がたくさんあります。赤い鳥もいい音楽をたくさん持っているグループとして思い出すのですが、幅広さ、音楽グループとしてのソコヂカラを思わせるのです、ガロも。
学生街の喫茶店はすぎやまこういちさんによる作曲の提供です。自分でも曲を書くが、提供受けた曲も発表する。今でもそういうことは普通のことかもしれませんが、現代では発表曲のほとんどを自分で書くアーティストの割合が増えたことと思います。
ガロも自分で音楽をつくる力を豊かにもっているグループだと思います。まだ詳しくはない私ですが、すこしずつ選んで聴いています。
ちょっとコンパクトで世界観が独立したアルバム曲などみつけると、気が利いているなと思うのです。
たんぽぽ GARO 曲の名義、発表の概要
作詞:大野真澄、作曲:堀内護。ガロのアルバム『GARO』(1971)に収録。
GARO たんぽぽを聴く
ナチュラルマイナーな物悲しいのですが悠久な印象の楽曲です。
“羊は丘を越え 鈴はこだまする”。家畜を描きます。山岳地帯や草原、高原をおもわせます。世界のどこにあってもおかしくなさそうな景色です。日本ではなさそうな感じですが……岡山の蒜山高原とか、そういう場所がないとも限らないでしょう。異国チックで、時代を超越した感じ。おとぎ話のなかのようでもあるのですが、ずっと世界のどこかに現実に存在する情緒があります。
思い出すのはサイモン&ガーファンクルが近現代のポップスとして広めるのに大役を買った『スカボロー・フェア』です。ナチュラルマイナーで、感情を超越した神々しさがよく似ています。
メンバーのボーカルの息遣いが繊細にきこえてきます。金属弦のからまる響き、フレットや弦のこすれるおと、軋むおと。シンプルな編成とサウンドですが、豊かな音がつまっています。
左右にアルペジオのギターが各1本、まんなかにも繊細なオブリをひくギターが1本。合計3本ギターがいるでしょうか。シンプルにみえてこの絡みが案外よく練ってあるような。余計な音をだすと悪目立ちしてしまう。額縁のなかにパックした世界の崇高さを思わせます。パチっと決める歌唱、演奏の力です。多重録音でどうにかしようとかこねくり回す曲ではないでしょう。お見事です。
日本でたんぽぽをみかけたら、この曲を思い出して心を飛ばしたい。綿毛みたいにね。
青沼詩郎
『たんぽぽ』を収録したガロのアルバム『GARO』(1971)
ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『たんぽぽ(ガロの曲)ギター弾き語りとハーモニカ』)