ヒッピー・ヒッピー・シェイクの文脈
私が『Hippy Hippy Shake』を知ったのは1990年代か2000年代前半くらい。テレビでよく「●●ロードショー」などと称して21時くらいから洋画をコマーシャル込み2時間未満くらいの放送枠におさまるように編集したのを放送していました。ある日それ系の番組でトム・クルーズが主演の『カクテル』をやることになりました。最初は「来週はこれ!」的な予告で知ったのだったと思います。
そこで流れたのが『Hippy Hippy Shake』。これがカッコよくてしびれました。ジョージア・サテライツの演奏でした。
初めてこの曲を知る私は必然か、これをオリジナルだと思い込むわけです。
『カクテル』のサントラにはビーチ・ボーイズ『ココモ』なども入っていて音楽が魅力です。ジョージア・サテライツの『Hippy Hippy Shake』を収録したジョージア・サテライツのオリジナルアルバムが存在するのかどうか未確認ですが、とにかく私は『Hippy Hippy Shake』が良いのはそれとして、このサントラを聴きたいと思ったのですね。ビーチ・ボーイズの『ココモ』もやっぱり予告なのか本編なのか忘れましたが存在を認知。それも含まれているサントラを良いなと思ったのでしょう。気になる曲が複数あれば当然聴きたい気持ちも強まります。小遣いの限られる高校生だった私はツタヤで借りました。
『Hippy Hippy Shake』の原曲がチャン・ロメオだと知ったのは2020年代に入ってからの私です。
チャン・ロメオの演奏は、ちょっと歌唱のニオイが強めです。オリジナルなのですから「ニオイ強め」などと、いきなり比較対象(ほかのカバーやバージョン)が存在する前提で味わえてしまうのがいかにも後から知った世代という感じです。オリジナルの発表は1959年ですが、当時はどう受け入れられたり評価されたりしたのでしょうね。
最近聴いてカッコいいと思ったのはスウィンギング・ブルー・ジーンズです。曲の勢い感をよく生かしています。いえ、それ以上に自分たちのモノにしていますね。シャウトが強くてカッコいいです。サウンドもバコっとアツさとパワーが詰まっていてツボ。
世界の有名人、ビートルズもカバーしているわけです。ライブ演奏ですね。オリジナルアルバムやらシングルB面とかでの発表はなく、初期のライブレパートリーなのでしょう。ちょっとボーカルのクセ感と、グルーヴの独特の訛り感が味わいな演奏です。
ブートレグと冠されたビートルズの別のテイクのライブ録音をみつけました。コッチの方が『Hippy Hippy Shake』の向かうところ敵なし感、勢いと攻めの姿勢がよく出ていて好きです。
こうしてならべて聴いていくと、私がはじめて『Hippy Hippy Shake』を知ったジョージア・サテライツの演奏はサウンドの質がやっぱりひと世代もふた世代も違う感じがしますね。キックのデシデシ感、エレキの伸びとコシとギスギス感がほかの年代のものとは異質でボーカルの攻め具合が好きです。間奏のソロギターのコレキタ感も好し。
『Hippy Hippy Shake』は良い意味で、カバーされてもそこまで代わり映えしないところも、 かえってカバーの対象として好まれるところかもしれません。いや、それでもやっぱり三者三様千変万化ですけどね。俺もやりたい!ってなる曲です。
Hippy Hippy Shake チャン・ロメオ 曲の名義、発表の概要
作詞・作曲:Chan Romero。チャン・ロメオのシングル(1959)。
あらためてチャン・ロメロのHippy Hippy Shakeを聴く
マイクばんばんフカレてボソボソゴソゴソいってますしオーバーゲインして歪んでますがそこがいい。ボーカルが超楽しそう。もう笑っちゃってますよね、演りながら。こういう生生しい音源、現代でも数多誕生して世に出されていけばいいのになぁ。瞬間が、時間の記録がつまっているじゃないですか。生きてる感はんぱないです。
ベースはアコースティックベースでしょうか? ぶんぶんずんずんと深い響きです。間奏のエレキギターの高鳴り方はいつの時代にカバーしても楽しそうですが、オリジナルのこの音源のサウンドは残響がビッチョビチョです。どんなホール(空間)で録音をおこなったのでしょうかね。エフェクトで付加したリバーブ感じゃなく、そもそもの部屋鳴りなのでしょうか。奥に行っちゃって聞き取りづらいなんてことはなく、はっきりと主役感があります。攻撃力の高い、強いサウンドとチョーキングのフレーズ、これが残響感が少なかったら耳に刺さって痛いのかもしれません。ぜんぶがモノラルのソースに詰まって一体になって私の脳天にぶち込んできます。
ドラムスのスネアなんかダカダカとずっと細かいですね。疾走して疾走しきってほしい。主題のフレーズを繰り返しながらフェードアウトで終わるのですね。生演奏だったら力尽きるまで演るのでしょうか。それも見たいです。
「ホ!」というボーカルフェイクが高く瞬間的です。もうこれがなきゃ。
青沼詩郎
Chan Romero『Hippy Hippy Shake』を収録。廉価版だかコレクションの類でしょうか。
ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『Hippy Hippy Shake(チャン・ロメオの曲)ギター弾き語りとハーモニカ』)