ミサイルマン THE HIGH-LOWS 曲の名義、発表の概要
作詞・作曲:甲本ヒロト。THE HIGH-LOWSのシングル、アルバム『THE HIGH-LOWS』(1995)収録。
ザ・ハイロウズ『ミサイルマン』(2020 Remaster CD『THE HIGH-LOWS』収録)を聴く
主題の「ミサイルマン」を唱えるところで聴こえるのはボコーダーなのでしょうか。機械っぽい人工的な声で、甲本さんのメインボーカルが「ミサイルマン」を崩しながら高らかに歌うのが響く足下のあたりに転がるみたいにヘンな声で「ミサイルマン」を唱えているパートが入っているようです。このきな臭い感じが絶妙です。
サウンドがもう飽和寸前あるいは飽和するもよしとするにぎやかさ。こういうスタイルのこういうキャラクターのサウンドはアナログで聴いたらまたかなり味わいが違いそうです。
ギターの倍音が凄いのなんの。イントロにはイントロ独自のエレキギターらしいリフレインにドラムスがオモテ拍でダウンビートする展開がついてから、本編のイントロが始まる感じです。ワカチコワカチコとワウワウのギターが酒をひっかけてまどろみながら唸る怪しい男のようでもあります。入っているのかいないのか、ラテンパーカスがいるようなどくとくのコツコツいう中低域はワウギターのアタック音なのか実際に入っているのかなんともいえません。踊り狂いたくなる16ビートです。
左サイドの、メインのストラミングのエレキギターの刻みが16分割で案外細かいです。このことによって、ドラムスのおおまたぎな轟音、そのワイルドさが引き立って感じます。もちろんドラムスもところどころ16分割のひっかけ感を出しています。ベースの伸びやかでスムースな流暢なフレージングが達者で恍惚となる質量感。
エレキギターのワイドレンジな倍音感に、オルガンの音色が強烈な光のカーテンを投影します。もうまぶしくて目も開けていられません。発射されるミサイルのその瞬間の爆発の閃光を見るかのようです。
“なんか食わせろ”というから適当に何かほどこしを与えたら”そんなもんじゃねえ”と我を主張してきた様相なのか、そんなもんじゃなくてもっとだ!という量的な欲求なのか。
目をさました直後はなんでもいいからなんか食わせろという気分もあるかもしれません。それが本心でいるつもりのモンスター。しかし実際に何かを差し出されてみれば、いや、それは違う、そんなもんじゃねえ! という実際の自分の生理・心理の求める理想があることに気付くのです。
己の突き進むままに、己の能動性によって勝ち得たもののみが、真に己の腹を満たすのです。
“自殺するのが流りなら 長生きするのも流行り”(『ミサイルマン』より、作詞:甲本ヒロト)のフレーズ。ああいわれてみれば、こっちもあるよと即座に反転を試みる思考が好きです。そうだよ、アタマはそういう機転を利かすためにあるのだと共感します。
“都会では自殺する若者が増えている”(『傘がない』より、作詞:井上陽水)という名曲の名フレーズへのカウンター、あるいはうなずきであるようにも思えます。
青沼詩郎
THE HIGH-LOWS オフィシャルYouTubeチャンネル>【公式】ザ・ハイロウズ「ミサイルマン」【1stシングル(1995/10/25)】THE HIGH-LOWS / Missile Manへのリンク
参考Wikipedia>ミサイルマン (曲) THE HIGH-LOWS (アルバム)
『ミサイルマン』を収録したTHE HIGH-LOWSのアルバム『THE HIGH-LOWS』(1995)