青春・オン・ザ・ロード メロン記念日×THE COLLECTORS 曲の名義、発表の概要
作詞・作曲:加藤ひさし。メロン記念日のシングル(2009)、アルバム『MELON’S NOT DEAD』(2010)に収録。
メロン記念日×THE COLLECTORS 青春・オン・ザ・ロード(アルバム『MELON’S NOT DEAD』CD収録)を聴く
ヴォーカル・バンドと評されるグループ。楽器を奏でなくとも声が楽器でありパートであり表現なのです。全員ヴォーカルのバンド。THE COLLECTORSの演奏+ソングライティングと接合しサウンド・編隊ともに本物のバンドです。
オリジナルメンバーが4人というのもあってか、いわゆるアイドルグループの音像として「あるある」な、個々の輪郭があまりわからないシンガロングのサウンドとは違って、全員ヴォーカルのバンドじゃい!文句あっか! という気概がひしひしと伝わってきます。
ハロプロ系のグループだとか「アイドル」だとか私が認識していたり世間一般にもされていたりするかもしれませんが、うなりました。これだけ本気でぶつかってこられたら、鑑賞者も本気で正座して鑑賞するまでです。
丁寧に歌をうたうグループだなと思います。それも、先に述べたように、シンガロングで個々の輪郭を重ねて悪い意味で調和させてしまうようなサウンドのアイドルグループとは一線を画すところだなと思います。
思えばハロプロのキーマン、つんくさんは言わずと知れたバンド、シャ乱Q出身。バンドマンなわけです。個性をたたかわせ、正座で私の膝を向かせてくれるような気概を持った人たちが、ハロプロ一帯から出てくることは自然なことなのかもしれません。
一個一個のボーカルがわかるように、真ん中や両サイドに定位づけされます。サビの頭では真ん中に下ハモの男声(加藤ひさしさんの歌唱でしょうか)、両サイドにメロン記念日メンバーのリードボーカルが布陣する音像で、THE COLLECTORSとメロン記念日の対等な音試合:セッションであるのアティテュードが伝わってきます。
眠る渋谷を駆け抜けて 誰も見たコトない場所へ あぁ どこだって ふたり一緒だった
『青春・オン・ザ・ロード』より、作詞:加藤ひさし
山口つばささんの漫画の『ブルーピリオド』を思わせる情景です。渋谷ってただでさえ眠るのが遅そうな街に思えますが、終電も過ぎればある程度眠りはじめるのでしょうか。あるいは始発をもう1時間のちに控えたくらいの夜明け前になれば、すやすやと渋谷の街が寝息をたてるのも聴こえてくるのか。
そんな情景を走り抜ける二人の記憶。都会の恋愛の情景が無垢に伝わってきます。
月のように 光るヘルメット 今はひとつ あなたを待ってる むかえに来てよ わたし寂しいよ ひとりぼっち
『青春・オン・ザ・ロード』より、作詞:加藤ひさし
地上の近くにある月は、ヘルメットなのです。あなたといればそれはふたつだった。おとぎ話です。ロマンがあります。ボーカルの最後のラインの歌唱がドライな音像で寂寥が伝わってきます。
オープニングとエンディングに、バイクのエンジンを思わせるようなブゥウウン……といううなるような音。記憶をフレーミングする主人公とあなたの思い出を象徴する音なのかもしれません。
青沼詩郎
メロン記念日 UP-FRONT WORKS サイトへのリンク
『青春・オン・ザ・ロード』を収録したメロン記念日のアルバム『MELON’S NOT DEAD』(2010)
ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『青春・オン・ザ・ロード(メロン記念日×THE COLLECTORSの曲)ギター弾き語りとハーモニカ』)