キャロルでベースボーカルの矢沢永吉
歌いながらベースを弾く矢沢永吉の、ごしごしぱたぱたと動く細長い指が印象的。案外繊細な手をしている。若さもある。今までの私の矢沢永吉のイメージは、マイクのみで歌う姿。楽器を携え、揺れる長身が新鮮に映った。
矢沢永吉の深イイ話
大分(だいぶ)むかしの話だけれど、『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ)という番組を観た。矢沢永吉を取り上げたエピソードがあった。楽曲『I LOVE YOU,OK』歌詞に出てくる「お前」に自分自身(矢沢永吉)が重なって、歌えなくなってしまったというもの。
当時の番組映像を観るに、この曲を作った時点で「お前」が矢沢永吉自身を指すものとする強い意図があったかはわからない。作詞者は相沢行夫、作曲が矢沢永吉。
音楽を誰のためにやるのかというのは、音楽に携わるすべての人につきまとうテーマ。私もその端くれ。だから、この番組を当時観て以来、このエピソードはずっと私の胸にあって、未だに思い出す。
あなたの近くにもきっといる永ちゃんファン
私の身近に矢沢永吉の大ファンがいることを最近知った。私はキャロルの『ファンキー・モンキー・ベイビー』を思い出した。作詞:大倉洋一、作曲:矢沢永吉。この曲は私が高校生くらいのときコピーした記憶がある。ほかにもこの曲に聞き覚えがある理由を探すと、『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ)内企画『ヨモギダ少年愚連隊』のBGMに使われていたせいだと気付く。
『ファンキー・モンキー・ベイビー』からはチャック・ベリー『ジョニー・B・グッド』を思い出す。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』にも登場した曲。
キャロル、矢沢永吉が日本のロックや音楽界に与えた影響を思う。というか、その影響は音楽うんぬんの次元を超えて私の日常に染み出している。深いね。
青沼詩郎
矢沢永吉 公式サイトへのリンク
https://www.eikichiyazawa.com/
キャロルのアルバム『ファンキー・モンキー・ベイビー』(オリジナル発売:1973年)
ご笑覧ください 拙カバー
青沼詩郎Facebookより
“最近、矢沢永吉の大ファンが身近にいることがわかった。
矢沢永吉のことは、音楽や楽曲うんぬんを超越し「生き方」「人格」として意識することがこれまでの私にあった。
ずっと前に、テレビ番組で「深イイ話」というのをやっていて、あるとき矢沢永吉のエピソードが放送されたのを私は観ていた。端的にいうと、矢沢永吉のある曲に登場する二人称は矢沢永吉自身のことである、という内容のもの。
これまでに何回もその放送で明かされたことを私は思い出してきた。私は音楽をずっとやってきたけど、誰に向けて音楽をやるのかというのはいつもつきまとうことだからだ。それでいて、その放送されたエピソードは深く共感できるものだった。
ここで冒頭に戻る。最近、身近な人がその矢沢永吉の大ファンだとわかり、私もふと矢沢永吉を意識してみたとき、真っ先に思い起こしたのが彼が組んだバンド・キャロルの楽曲『ファンキー・モンキー・ベイビー』だった。高校生の頃、1度遊びでコピーしたことがあったような気がする。そのほかにどこでこの曲に触れたんだっけなと思うと、「めちゃイケ」の番組内コーナーのBGM。そのことは忘れていたけど、検索して思い出した。
そうやって、何かのイメージシンボルとして頻繁に持ち出される矢沢永吉の存在は大きい。近年「ほぼ日」ウェブサイトにはまったときも、彼と糸井重里の対談記事を何本も読んだ。
彼は純粋なミュージシャン。一方で、その人格が際立っているせいか、これまで私は個別の曲に注視することが少なかった。今、そこに関心を寄せ始めている。”
https://www.facebook.com/shiro.aonuma/posts/3435900316503618