ピンポンパンへの道 至ったいきさつ
坂本九が歌った名曲『見上げてごらん夜の星を』。作詞:永六輔、作曲:いずみたく。
私も大好きなこの歌の作者2人による仕事がほかにもたくさんあって、ザ・ドリフターズ(原曲はデューク・エイセス)が歌った『いい湯だな』も作詞:永六輔、作曲:いずみたく。
『いい湯だな』はもちろん知っていたので、「ああ、あの曲もこの2人(永六輔・いずみたく)による作だったのか!」と知って感慨深かった。
そんないきさつで私の目がザ・ドリフターズにとまる。そのレパートリーの中で気になったのが、『ドリフのピンポンパン』。タイトルがこのようになっているが、『ピンポンパン体操』のことだ。
ピンポンパン体操
最初にこの曲をリリースしたのは杉並児童合唱団・金森勢。1971年にシングルで発表されている。
フジテレビが1966年-1982年放送した番組『ママとあそぼう!ピンポンパン』。『ピンポンパン体操』は、番組内で歌ったり踊ったりするのに用いる曲として作られたのだろう。
作詞は阿久悠、作曲は小林亜星。NHKへの対抗意識からなされた依頼に基づく作だとも聞く。歌詞に登場する内容のキワドさが痛快。これは確かにNHKの幅を逸するだろう。
この曲を私が知ったのは、厳密には『いい湯だな』のWikipediaページを見ているときだった。
『いい湯だな』原曲のデューク・エイセスとザ・ドリフターズ版の違いが述べられたうえで、「その他のカバー・使用例」の欄に小鳩くるみとヤング・フレッシュのカバーがあり、そのカップリングに『ピンポンパン体操(1971年版)』が収録されている旨の記述がある。
だから、私がこの曲に触れたいちばん初めのバージョンは小鳩くるみだった。彼女のはつらつとした声が瑞々しい。歌の内容に沿った鳴りものの演出が逐一楽しい。曲のコミカルさが際立つ快演だ。
ドリフのピンポンパン
ザ・ドリフターズ版のブンブンベースがファンキーでかっこいい。加藤茶らの通った声、そのキャラクターは類稀で私の注意を引き付ける。シモのキワどい笑いにも彼らほど相応しい者はいない。
歌詞は当時の世相を映しているそう。でも時代を知らない私にも楽しい。笑い崩れ、心は打ち拉がれた。ここ1年くらいで1番の衝撃だった。阿久悠、それから小林亜星に対する私の関心が高まった。番組『ママとあそぼう!ピンポンパン』から世に出た曲も多い。
青沼詩郎
『ドリフのピンポンパン』を収録した『ザ・ドリフターズ ゴールデン☆ベスト』
ご笑覧ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『ピンポンパン体操 ギター弾き語り』)
青沼詩郎Facebookより引用
“ザ・ドリフタースを漁っていたら出会った曲『ピンポンパン体操』。
脈絡もなく訥々と紡がれる「しょーもない歌詞」の回転木馬。笑い、驚き、よろめき、崩れました。作詞:阿久悠、作曲:小林亜星。
最初、小鳩くるみバージョンで曲に出会いました。場面に合わせた鳴り物の演出と歌声がすばらしい。
それからザ・ドリフターズ版を聴き、オリジナルと思しき杉並児童合唱団・金森勢を聴き、ザ・ドリフターズ版に戻りました。
フジテレビ『ママとあそぼう!ピンポンパン』(1966〜1982)でNHKを意識して(NHKに対抗して)企て、制作したもののようです。(ピンポンパン体操と名のつく、年を異にする楽曲群があります。)
ときにしょーもなく、くだらなく、ちょっと下品なネタも入っていて、確かにこれはNHKでは扱えないだろうなという線を見事に行っています。
実際に世間で話題になったものが歌われていて、なぜそんなものが歌詞に登場するのか? という驚きを私が味わえるのはジェネレーションギャップのおかげかもしれません。
番組名の「ピンポンパン」はプッチーニのオペラ『トゥーランドット』の配役からとられているそうです。”
https://www.facebook.com/shiro.aonuma/posts/3446816588745324