You Really Got Me The Kinks 曲の名義、発表の概要

作詞・作曲:Ray Davies。The Kinksのシングル、アルバム『Kinks』(1964)に収録。

The Kinks You Really Got Me(アルバム『Kinks』収録)を聴く

ジャキジャキしたギター。スピーカーコーンを意図的に切り裂いたとか(Wikipediaより、“ギターアンプについているスピーカーの振動板を剃刀で切り裂き、ピンで突き刺した”)。ジャキジャキしたトガり方ももちろんですが、なんだかブスブスと機材の限界を超えてしまったみたいなイカれた質感を感じる所以かもしれません。理性すらも貫通してしまったかのよう。

直前の小節のウラ拍から長2度下からずり上げて止めるリフは私の記憶のなかのロック名リフ図鑑に載ります。ベースとギターがピタっとリズムをあわせます。ドラムもキックとスネアでこのリズムパターンに添います。ハイハットがオープンでずっと鳴りっぱなしではないでしょうか? この節操ない、理性が逝去してしまったみたいなオープンハイハットが“You Really Got Me”の主題を象徴します。

リズミカルなギターソロが印象的です。ギターソロのところはバッキングのギターをダブっているのかどうか。複数の弦を要所でバキッ、ジャキッ!と一緒に鳴らしているような感じで、バッキングのギターのダブのあるなし以前に、恍惚や陶酔を高める野生的で本能的なギターソロに性欲を煽られる気分です。名リフ図鑑収録と同時に、あなたの心のロック名ギターソロ図鑑にも収録しましょう。

主題の“You Really Got Me”はあなた(You)が主語になっていますが、お前にぞっこん!みたいな訳し方があるようです。心底、アンタには心を奪われたよ! やられた! 魅了された! といったニュアンスでしょうか。恋愛における魅了以外の局面でも使えそうな気がします。実際、ネイティブの人はそういう表現を使うのかな?

ボーカルの荒々しい歌唱もギターのブスブスといかれてしまったサウンドと増長します。のどぶえの振動板も切り裂いてしまったのか? と思わせます。ブワーっと音の厚みを演出するバックグラウンドボーカルも肉迫。

音楽の構造もシンプルですし、歌詞もほとんどYou Really Got Meの主題どおりのことを壊れて同じ箇所を再生しつづけるレコードみたいに唱えていく、理性や制動を失って“ぞっこん”になった様子です。モノラルの音像も、たった一本のパイプに詰まった理性をがむしゃらにバンドの水圧が押し出す様相を思わせます。私の心も放水状態。You Really Got Me!!

青沼詩郎

The Kinks – The Kinks Official Siteへのリンク

参考Wikipedia>ユー・リアリー・ガット・ミーキンクス (アルバム)

参考歌詞サイト KKBOX>You Really Got Me

You Really Got Me』を収録したアルバム『Kinks』(1964)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『You Really Got Me(The Kinksの曲)朝活1時間耳コピ1発録りアコギ弾き語り』)