うまくて酸味も甘味もある野菜なのか果実なのかわからんなんかかわいいやつ

中学生の頃まで通っていた塾の数学の先生がトマトのことを大嫌いで、「はなみず詰めたタン壺」と表現していたのが未だに忘れられません。私はトマトが大好きです。生食は少し口のまわりがかゆくなったりする体質の人もいるみたいですね。何が体質に合うかは人さまざま。味覚に合うかもさまざま。

トマトにはうまみがあるといいます。カレーのベースに必須だと私は思っています。スパイスカレーをつくるときの話です。ルーだけでつくるときは、ルーの箱の裏に書かれたレシピにはトマトはたいてい指名されていません。でも勝手に抜擢して、ルーでつくるカレーにトマトを入れてしまっても美味しいと思います。

スパイスでつくるときのカレーにおけるトマトの出番は、私の作り方の場合は玉ねぎをひととおり炒めたあとです。賽の目(おおざっぱ)に切ったトマトを茶褐色になった頃合いのたまねぎの鍋(フライパン)に加えて水分を飛ばしていきます。トマトの輪郭がくたっとしてきたら、スパイスの全量のうち半分ほどをこのタイミングで投入。そしてヨーグルトを投入します。なんだかスパイスカレーの作り方の一部をレビューするコーナーになってしまいましたね。

トマトのうまみ成分はグルタミン酸だそうです。昆布やチーズにも含まれるんだとか。肉、魚、野菜など、グルタミン酸を含む食材はかなり幅広いよう。うまみ界隈の最有力物質なのかもしれません。

あと、うまみ成分で聞き覚えのあるのはイノシン酸。魚介類や肉類に含まれるそうです。

コハク酸。アサリやシジミといった貝類に含まれ、多すぎるとえぐみの原因にもなるようです。

干し椎茸を筆頭に乾燥キノコに含まれるグアニル酸というのもあるそう。

複数のうまみ成分がかけ合わさった料理はさぞうまいことでしょう。ラーメンの汁、具の多い味噌汁、シチューやもろもろのスープ類。トマトベースのパスタにチーズが合うのもうまみ成分のおかげでしょうか。

トマトは生食も私は好きです。葉物のサラダにトマトが入れば嬉しさ倍増。というか入らないと寂しいです。プチでも大きいのでもどちらも歓迎。

ドライトマトもケチャップも缶入りのホールトマト・カットトマトもトマトジュースも私は全部いけます。こんなに自分がトマト好きだったとは今あらためて知りました。

君のハナはかわいいんだね

ソロにグループ名義に、作品によって変幻自在すぎてつかみどころがない西岡たかしさん。歌詞やギターの弾き語り音楽の様式に著しく依拠するでもなく、録音作品として前衛的、アバンギャルドな作歴もあるなどしますし雲のようにつかみどころがなくかつ高みにいてふわふわと常に形を変えてはときおり雨になって私の肌にぴちぴち降ってくるみたいです。

そんな西岡さんの作歴のなかではスタイルのわかりやすいポップソング『トマト』。ユーミン(愛称で失礼します)の『ルージュの伝言』みたいです。「トマト」をちゃんづけして、ワンセクションに1回くらいはその名を呼びます。野菜、果樹としてのトマトのことをいっているのか、好きな人のことをトマト呼びしているのか、その両方なのか。君の鼻(nose)、君の花(flower)どちらともとれるでしょう。ほとんど意味の変わらない範囲で言葉の細部を変えて反芻する歌詞。「考えてしまうんだよ」→「考えてしまうんだから」→「考えてばかりいるんだから」……など、ほとんど一緒やんとツッコませます。ベースラインに忠実なメロディが純朴で従順な印象です。お天気の神様が気まぐれにトマトを愛しちゃった!みたいな愛嬌がある素敵な曲。

トマト 西岡たかし 曲の名義、発表の概要

作詞・作曲:西岡たかし。西岡たかしのアルバム『スープ』(1975)に収録。

西岡たかし トマト(アルバム『スープ』収録)を聴く

オーバーダブのリードボーカルがトマトちゃんへの愛情のいくら反芻してもかわらない純朴さを協調します。バックグラウンドのボーカルのハーモニーやオブリも多彩。

キュっと身の引き締まるベースの音の切り方がこまやか。ドラムの音も余韻が短く非常にドライですハイハットの音も病的に短くタイト。セクションが変わるところで16分割で鳴り出したのはハイハットとおもいきやシェーカーの類でしょうか。緻密に定規のメモリがぴったりと合った状態がいつまで続くのかの緊張感を私に与えて、セクションが終わるとピタっと鳴りやみます。

多彩なバックグラウンドボーカルが肥やす花壇まわりにストリングスが水飛沫を散らします。非常にパーソナルでアングラ的な作品もある西岡たかしさん像が揺らぎます、こんな愛嬌と潤沢なサウンドに満たされ、開放された作品もあるのだと意外な思いです。

エレキの音が伸びるときにちょっとチリっと位相を変えていくみたいな独特のキャラクターがあります。またクラビネットも入っているのか、じーん、ピーンと電気的な増幅を経たサスティンが聴き心地に刺激をくれます。

エンディングでピアノがナワバリを占領するみたいにでかいツラでいつのまにか顔をきかせます。エレキのクリーンなトーンでのスイープ奏法もピアノと張り合うように大きいバランスで入ってきます。

トマトに愛情をいっぱい与えるみたいに満たされたサウンドスケープが流れていきます。

現実のトマトには水をやりすぎないとか、少しあえて厳しくしたほうがキュっとおいしい実がなるみたいな話をきいたことがある気もします。素人なので真偽はわかりかねます。

本曲を収録したアルバムのタイトルが『スープ』で、なんかコンセプトあるいはテーマあるいはモチーフの統一感があるなと思えます。トマトちゃん、スープにされちゃうかもよ。そう、スープを思わせる豊かな風味の調和を感じるサウンドです。

青沼詩郎

参考Wikipedia>西岡たかし

西岡 たかし ビクター公式サイトへのリンク

『トマト』を収録した西岡たかしのアルバム『スープ』(1975)