あつさのせい 大滝詠一 曲の名義、発表の概要

作詞・作曲: 大瀧詠一。大滝詠一のアルバム『大瀧詠一』(1972)に収録。

大滝詠一 あつさのせい(1972『大瀧詠一』収録配信版)を聴く

右サイドの女声コーラスの語彙の豊かさが私を笑かしに来ます。めちゃくちゃ雄弁に合いの手を入れます。「はぅッ」とかキャンディーズかよと思うのですがたとえば『年下の男の子』は1975年リリースで、1972年の『あつさのせい』よりも後年の作品なのでむしろキャンディーズ曲が真似した時系列になるかと思います(あくまで時系列の話として)。そもそも大瀧さん作品こそ、あちらこちらからの音楽的語彙の採集陳列再構成の世界的祭典のような作風でありますから、この「はぅッ」系コーラスの源流はどこにあるのかより深い学習が私に要るなぁと思わせます。

ドライなルームアンビエンスを感じる音質です。イントロに入るまでのわずかな静寂に機材がブーンとうなっているノイズが聞こえるところ、コンパクトなチームでプライベートな空間で制作に臨んでいるのを感じさせますが実際はどうでしょう。この「デッド(残響が少ない)な部屋」っぽい音響に私は吸い込まれ、魅入ります。

左サイドのエレキギターの捲れ上がるようなクリーン〜クランチの気持ち良いサウンドはフェンダー系のギターを思わせます。ソロギターは中央付近の定位で入ってきますね。ピアノは脇役感があります。やや奥まった感じの定位と音量バランスで、あくまで和声とリズムの後ろ支えである扱いを思わせますがリズムと和声に増幅感と厚みをもたらしており、エレキギターを中心としたバンドのサウンドの楽曲『あつさのせい』ですがこのピアノを除外すると案外ふぬけみたくなってしまうほどに重要なパートかもしれません。

言葉の乗り方がなんとも破壊的といいますか革新的で、はっぴいえんど『はいからはくち』などを思い出させるのはもちろん、ナイアガラ・トライアングルあるいはココナツ・バンク名義の伊藤銀次さんの楽曲『日射病』を思い出させます。楽曲『日射病』に関しては、暑さや季節といったモチーフや主題も似ています。音楽面でも、モチーフをキャッチする感性の面でも、大瀧さんと伊藤さんに通ずるものは大きいと思わせます。ご両人とも私の嗜好(至高)のレジェンドです。

暑さでヘンになっちゃって、感性もなんだかねじまがって時空までゆがんでくるようなクレイジー。

青沼詩郎

参考Wikipedia>大瀧詠一 (アルバム)

大滝詠一 ソニーミュージックサイトへのリンク あの『ナイアガラ音頭』が“短冊CD”(8cm)でリリースされるとのニュース。時代感がバグってますがわくわくします。

参考歌詞サイト 歌ネット>あつさのせい

『あつさのせい』を収録した大滝詠一のアルバム『大瀧詠一』(1972)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『あつさのせい(大滝詠一の曲)ギター弾き語りとハーモニカ』)