GSが好きだ
GS(グループ・サウンズ)が好きです。このブログをやっていて、何度もそう書きました。多分これからも書きます(何度も読んでくださっていたらありがとう!)。
グループ・サウンズは隙があるのが好きです。なんならちょっとヘタでもいいです。もちろんちょっとうまくてもいいし、だいぶうまくてもいいです。
箱バンとか、だれかのバックバンドで活躍したスタジオミュージシャンなみの力量のあるメンバー、あるいはスタジオミュージシャンそのものがあつまっている、なんてのに近いバックグラウンドをもつバンドもなかにはいて、グループ・サウンズ的なタグでくくれそうなバンドにもそうした実力に困らないバンドは枚挙に暇がないほどに(?)いるとかいないとか。ブルコメことジャッキー吉川とブルー・コメッツも、「ウマいGS」の定番かもしれません。
演奏がウマくても、音楽性がなんだかツッコみどころがあればいいのです。いえ、もちろんなくてもいいのですけれど……
ツッコみどころというのは、時代が培うものかもしれません。何が申したいかというと、時間が経過して何十年も経つと、「これが当時の本流」みたいなものであったとしても、のちの時代に聴くと、なんだか「おかしみ」を感じてしまうことがあるという意味です。
「これが当時最高にカッコよくて流行りまくってたんだってさ!」という笑い種です……いえ、ごめんなさい。馬鹿にするつもりなんてありません。楽しませていただき、生活の輝きをいただいております。
たとえばパソコン。コンピューターだって、大昔のものって笑ってしまうくらいに馬鹿でかい躯体ですよね。それ当時の普通です。電話だって、スマホなんてまだありません。肩からぶら下げる謎の工具箱みたいなでかい直方体が発明されたての携帯電話だったりしたんですよ。ウケるね!と馬鹿にするつもりはありませんが、「おかしみが高い」と思いませんか。
自分のおかれた、同時代の価値観とは離れたところで醸成されるもの、生まれるもの、培われるものって、すごく面白いのです。これが執筆時(2024年)におけるGSの味わい、魅力の一面だと思います。
ブルー・シャトウ ジャッキー吉川とブルー・コメッツ 曲の名義、発表の概要
作詞:橋本淳、作曲:井上忠夫。ジャッキー吉川とブルー・コメッツのシングル、アルバム『オリジナル・ヒット第2集』(1967)に収録。
ジャッキー吉川とブルー・コメッツ ブルー・シャトウを聴く
この情念メラメラのサウンドよ。劇的なストリングスに涙が込み上げてきそうです。
複数のボーカルの斉唱が青々としています。そうか、ブルー・シャトウのブルーは青春の青なんですね!!
キレッキレにタイトにおさえたギターの裏打ちのリズム。複弦っぽいギターのサウンド、12弦でしょうか。フルートが絡んでお花畑と少女が脳内登場しそうです。
ドロドロ……と、まわるまわるタムまわし。快活です。
ぶるーぶるーぶるーぶるー!何回いうんですか聴こえています。最高ですあなたたち。
“森と泉にかこまれて 静かに眠るブルー・シャトウ あなたが僕を待っている 暗くて淋しいブルー・シャトウ”
“きっとあなたは紅いバラの バラのかおりが苦しくて 涙をそっと流すでしょう 夜霧のガウンに包まれて 静かに眠るブルー・シャトウ”
(ジャッキー吉川とブルー・コメッツ『ブルー・シャトウ』より、作詞:橋本淳)
シャトーは、ご身分の高い人の住居だとかそういうもの……お城とか、そこまででないにせよ、しっぽりした品のある建物なんでしょう。
青いとは、沈みこんだ様子。静けさを想像させます。バラの紅が対色で映えます。夜霧のガウンだなんて素敵な言い回しに卒倒しそうです。包んでおくれ、いま私は倒れるところです。
青沼詩郎
ジャッキー吉川とブルー・コメッツ 日本コロムビアサイトへのリンク
『ブルー・シャトウ』を収録したジャッキー吉川とブルー・コメッツのアルバム『オリジナル・ヒット第2集』(オリジナル発売年:1967)参考:日本コロムビアサイトへのリンク
『ブルー・シャトウ』を収録した『ドーナツ盤メモリー~ジャッキー吉川とブルーコメッツ』(2006)
Jackey Yoshikawa & His Blue Comets