でさのよツイスト 曲の名義、発表の概要

作詞:石原昭、作曲:前田憲男。スリーファンキーズのシングル(1962)。近田春夫&ハルヲフォンがアルバム『電撃的東京』(1978)でカバー。

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楽器をやるでも曲を作るでもなくて、複数で一緒に歌う編成のグループって、現代ではアイドルくらいしかあまりいないように思います。コーラスグループ、みたいな編成はもちろん現代でもいるでしょう。スリーファンキーズは複数のパートに別れて、ハーモニーを主導したり趣向をこらしたコーラスワークで印象付けるような感じでもありません。とにかく3人でステージに出て、客前でおんなじ旋律を3人で歌う。そんな感じでしょうか。とにかくノって、楽しそうにパフォーマンスしたら勝ちです。そういうグループって、現代ではあまり例が浮かばない気がします。アイドルグループだったらダンスに比重があったりするでしょう。悪くいえば……宴会芸の延長みたいな感じか。悪くいいすぎ?(笑)

身近に感じられる、ちょっとかわいい男の子三人組、みたいな扱いだったのでしょうか。想像するのみです。

金管楽器がブイブイ高鳴るアレンジとサウンドが傑作です。歌唱が超ウマ!とか、わびさびとか表情、風情がすごい!とかいう感じでもない。とにかく青青しく(若く)、未熟だけど勢いにのっています。音程の瞬間的な甘さとか、気持ち良いピッチに到達するまでのわずかな時間差とかもご愛嬌といいますか、良い意味での個性。そういうエフェクター(積極的な音作りに使用するアイテム)みたいなものですね。

「ツイスト」の発音がちょっとイイ感じなのがまたイイ。

でさのよツイスト 近田春夫&ハルヲフォン

元気で移勢が良いですね。曲のキモをおさえています。ハジけているし楽しいし、青青してもいるが自演によるパフォーマンスはご本家にも増してバッチリです。

中間部で「Oh!デサノヨ!」。主題を高らかに叫びあげます。転調してさらにエンジン全開。

イントロやエンディングの、ギター・オルガン・ベースのユニゾンのフレーズがビターな旋律音程で耳を引きます。エンディングではこれをリフレインしてアクセル。速度をあげていきながらフェイドアウト。ライブで観たら興奮して鼻血が出そうですね。イくところまでイくのを観てみたいです。

ドラムスもタムの定位が振ってあって抜けがよいオカズが入ります。気持ち良いサウンドと演奏です。ベースの、短2度下から和声の第3音をとるパターンの繰り返しで、いじらしいロックンロールスタイルの歌謡魂の表現がばっちりです。

でさのよって何よ

「でさのよ」ってなんなの? とは真っ先に浮かぶツッコミでしょう。最初、私もなんだろうな〜と思っていました。自分でこの曲をためしに歌ってみたときに思い出したのは、大槻ケンヂさんの素朴で素敵な楽曲『あのさぁ』です。

相手に、会話で、何かを投げかけるしゃべり言葉のニュアンスを「でさのよ」にも感じたのです。大槻ケンヂさんの「あのさぁ」と相手とキャッチボールを始める、やさしい言葉です。

「〜でさぁ。〜なのよ」といった口語のことではないかと、この曲の存在を私にYouTubeチャンネルのコメント欄で教えてくださったっ方も察していました。そういう話言葉を使う一定層の若者(その方の言葉を借りれば、「でさのよ族」)がいたのではないかという察しになるほどと思いました。

若い世代が、その時代だけに使う特有の言い回しっていつの時代もあると思います。時間が経つと死語になってしまって、のちの時代にそれを使うのはあまりにも恥ずかしいしゃべり言葉は数多あると思いますが、「〜でさ」「〜のよ」(〜なのよ?)は現代でも通じるしゃべり言葉だと思います。そういう意味で、『でさのよツイスト』は耐久性のある歌かもしれませんね。『ちょべりばブルース』とかあったらどうでしょう。寒気がしませんか。それはそれであったら面白いかな。私が作ろうかな。やりたくねぇな……独り言ですみません。

旧譜を選び、再提示する近田春夫さんらの遊泳力とその眼力にうなります。

青沼詩郎

参考Wikipedia>電撃的東京

参考Wikipedia>スリーファンキーズ

『でさのよツイスト』を収録したスリー・ファンキーズの『コレクション』(1996)

『でさのよツイスト』を収録した近田春夫&ハルヲフォンのアルバム『電撃的東京』(1978)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『でさのよツイスト(スリー・ファンキーズの曲)ギター弾き語りとハーモニカ』)