ふりまいて サンフジンズ 曲の名義、発表の概要
作詞・作曲:カイ・ギョーイ、ジューイ・ラモーン。サンフジンズのアルバム『スリーシンフサンズ』(2015)に収録。
サンフジンズ ふりまいてを聴く
ファンにはいわずもがな……奥田民生さん、岸田繁さん、伊藤大地さんの3人による夢のような洒落のようなバンド。
くるり『その線は水平線』や『水中モーター』を思い出させるテンポ、まっすぐ・かつウネるようなグルーヴ、ギターの開放的な音色が特長的です。
岸田(ジューイ・ラモーン)さんのダブルのリードボーカルとほどよい残響感が奥行きを出します。ハーモニーパートが奥田民生(カイ・ギョーイ)さんの声に聴こえます。
ゴツゴツとマイクとケーブルを通ってきた生々しいキックのサウンド。瞬間的なサウンドの積み重ねに、録音とセッションを楽しむバンドの空気と連帯感を賞味する私。ドラムセットは特にマイクで収録するほかない生楽器ですから、録り方ひとつでサウンドがまるで変わってしまいます。リアルで素直なドラムの音を聴ける録音物は、ことに現代の大衆音楽には「少ない」とまでいえるかわかりませんが貴重なものだと率直に思います。楽器の質感、生楽器の演奏の機微がわかる音楽を私はひとつでも多く聴きたいです。『ふりまいて』はそんな私を満たしてくれるサウンドをこさえています。
ベースが浮遊する動き。ザ・ビートルズやザ・フーなどを思わせます。浮遊する動きのヴァースと、コーラスでのまっすぐなシングルストロークが対比をなします。
闇を切り裂く、鋭く鳴きあげるエンディングのエレキギターのソロをあと1分、いえ、30秒でも長く聴きたい!というところでパーンと主和音の全音下の和音を放り投げて終わってしまいます。壮大なスケール感よりも、大喜利のようにつぎつぎにアイディアを錬成して壺から取り出すコンパクトなとんちの連なりを尊重した結果でしょうか。エンディングがもっと長かったら、アルバムの最後のほうに収録するのに向く曲になったかもしれませんが実際は3曲目。まだまだこれから「ふりまいて」いくところなのです。
青沼詩郎
アルバム『スリーシンフサンズ』特設ページ。「診療録」との見出しで、公式の全曲解説。ギョーイさんとジューイさんの弾くギターの個性の違いなどが話題になっています。
『ふりまいて』を収録したサンフジンズのアルバム『スリーシンフサンズ』(2015)
ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『ふりまいて(サンフジンズの曲)ギター弾き語りとハーモニカ』)