『手のひらを太陽に』『見上げてごらん夜の星を』いずみたく作品『ゲゲゲの鬼太郎』 水木しげる漫画のテーマソング
このブログでこれまでに『手のひらを太陽に』『見上げてごらん夜の星を』を取り上げた記事を投稿した。
私はいずみたく作品のファン。『手のひらを太陽に』作詞はやなせたかし。『見上げてごらん夜の星を』作詞は永六輔。
そして本日のテーマ『ゲゲゲの鬼太郎』作詞は水木しげる。テレビアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』テーマソングとして知っている人が多いだろう。私もそう思っていた。あなたもそうか。
この曲は、先に、漫画『墓場の鬼太郎』(週刊少年マガジン)のテーマソングとしてキングレコードとのタイアップで発表された(1967)。アニメ化にあたって改題の結果、原作漫画、アニメともに『ゲゲゲの鬼太郎』となった。
歌詞 ゲゲゲ おばけにないもの
熊倉一雄の歌唱が不気味で絶妙。“ゲッゲッ ゲゲゲのゲー”(『ゲゲゲの鬼太郎』より、作詞:水木しげる)という、擬態語と言っていいのかもわからない発音「ゲ」のリフレインが印象づける。こんな歌ほかに聴いたことありますか? 私はありません。
「おばけにはないもの」があとの歌詞につづく。学校、試験、会社、仕事。さらには死ぬことや病気。着目と発想がさすが。
おばけと妖怪は違うもののようにも思う。重なるところもあるか。得体が知れなくておそろしいものを大括りにして「ばけもの」と呼ぶことがありそう。
編曲、調、歌メロの短2度
弦のアンサンブルがサウンドの基幹。編曲は大柿隆。フラッター(巻き舌)やトリルのテクニックを交えたフルートの合いの手も良い。楽器の名前がわからないのだけれど撥弦楽器(インド系? いや、三味線? ……いや、お琴だ!とさむざま悩んだが、これはおそらく琵琶:pipaだろうと思い至る)の音も重要。ギターでいうところのチョーキング系のテクニック(?)で音程をずり上げて戻して揺らしている。
短調はそれだけ強烈なフック。熊倉一雄バージョンはCマイナー調。随所の短2度進行のうろうろする歌メロが怪しげ。
鬼太郎に似てると言われたことがある私
個人的なこと。私の髪の毛は真っ直ぐで硬い髪質をしている。短く切ると、ぴんぴん跳ね上がって頭皮から浮いてしまう。それが私はひどく嫌で、いつもある程度の髪の長さを保っている。前髪は常に目にかかっている。飲食店のバイトを落とされる奴だ(もちろん必ずしもでないだろうが)。
あるとき、そんな私の風貌をゲゲゲの鬼太郎に喩えた人がいた。自分でなるほどと思った。主人公っぽいし有名人だからちょっと嬉しくもある。それ以降、鬼太郎のことが身近に思えるようになった。キャラクターもそうだし、曲にしろ歌詞や編曲にしろ、どこか不気味な愛嬌がある。
青沼詩郎
熊倉一雄が歌う『ゲゲゲの鬼太郎』ほかを収録した『ゲゲゲの鬼太郎コレクション』
青沼詩郎Facebookより
“不気味に歌う熊倉一雄がお見事。作詞:水木しげる、作曲:いずみたく。「おばけには〇〇がない」という歌詞の着目、発想がさすが。随所のメロディの半音進行が肝。作曲のいずみたくの『手のひらを太陽に』『見上げてごらん夜の星を』などの作も私は好き。それらとの振れ幅がまたいい(振れ幅なようでいて共通する歌心か)。短調はもはやそれだけでフック(それだけで良いものになるわけではもちろんない)。アニメではなく漫画の主題歌として作られ発表されたのちに、アニメに用いられた。当初のタイトルは『墓場の鬼太郎』。”
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ご笑覧ください 拙演