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作詞・作曲:宮下智。田原俊彦のシングル(1980)。オリジナル版の編曲は船山基紀。

この編曲はスゴイです。次から次へとモチーフ、各パートが顔を出します。ひとつひとつのパートがどう横につながっていくのか。ピアノ、ストリングス、ブラス、アコギ、パーカッション小物、ドラムス、ベース、エレキギター、バックグラウンドボーカル、トシちゃん(愛称で失礼)のメインボーカル……10回くらいは注意のポイント(パート)を絞って繰り返して聴いてみたくなります。

すべてのパートが光るところが入れ替わり立ち替わりするのです。編曲の全部入りのボリューム感と緻密な構築ももちろん、ミックスもかなり大変・高等だったのではないかと想像するのですが、よい編曲やよい演奏・録音(収録)作業は、大事なことをあとまわしにせず、そのとき・その段階(プロセス)におけるベストを丁寧に適確に、かつ華やかに楽しくキメて積み上げていくものだと思います。編曲・録音うんぬんよりさらに広く、音楽制作全般(あるいは音楽外のあらゆる分野)におけることでしょう。

ですから、編曲が豪華でスゴイからミックスが大変だったか?などと軽はずみなことを述べましたが、決して編曲の情報量の豊かさの「まとめあげ」の苦労をいたずらにミックスに放り投げたわけではないはずだと思います。どこかの過程にアンバランスがあっては、傑出した作品は生み出せないのではないかと勝手に想像しています。

こうした各プロセスにおける適確さまで想像させる緻密でハイクオリティなサウンド(曲、演奏……)と、トシちゃんのあどけなさが薫るメインボーカルのパフォーマンスの対比が素晴らしい。逸材が出会うべきときに出会い、組み合わさった奇跡を思います。

アイドルのかわいさ……といいますか、若くて愛嬌のあるタレントが表現する音楽に特別なこだわりや執着は持たない私ですが、トシちゃんら含めギョーカイ人が放ったこの『ハッとして!Good』というプロジェクトにかける自信、それが世間に与えたインパクト、それに酔いしれ、享受したユーザーの心に、勝手ながら想像上で共感を覚える私です。これはさぞ、楽しくて、かわいくて、上等でたまらないコンテンツだったのではないでしょうか。

全てのパート、演奏が、楽しさと愛嬌をめいっぱいにスウィングして表現している感じです。ベースがペッキペキなプレイしているところもたまらないですね。やんちゃさも感じますし、オトナの社交場につい最近まで少年(いまも少年?)だった若者がちょっと背伸びして参加しているみたいな、青さと艶やかさの振れ幅がお見事です。

田原俊彦オフィシャルYouTubeチャンネル>ハッとして!GOOD -2010 New Recording-

2010年のNEW RECORDING(新版)。表現(芸能)で業界を生き培った「筋力」「瞬発力」、サウンドプロダクションは原曲への愛情ある丁寧な視線、観察を感じます(編曲はNATABA)。丁寧で適確かつ、スピード感を持って職人芸で、スパッと然るべき美味しいところを焦点明らかに掬い取ったようなパワフルで甘い息を感じるセルフカバー。トシちゃんよ永遠でいて、と頷かせる音源です。(参考:琉球新報>「再ブレーク盤」田原俊彦『35TH ANNIVERSARY ALL SINGLES BEST 1980-2014』タワーレコードオンライン>35TH ANNIVERSARY ALL SINGLES BEST 1980-2014

青沼詩郎

参考Wikipedia>ハッとして!Good

田原俊彦 公式サイトへのリンク

オリジナルバージョンをリマスターした『ハッとして!Good』を収録した田原俊彦の『オリジナル・シングル・コレクション 1980-2021』(2021)

『ハッとして!Good』を収録した『BEST OF 田原俊彦』(1998)

ニュー・レコーディングの『ハッとして!Good』を収録した田原俊彦の『35th Anniversary All Singles Best 1980-2014』(2014)

ご笑覧ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『ハッとして! Good(田原俊彦の曲)ギター弾き語りとハーモニカ』)