すてきなダンス I’m Happy Just to Dance with You The Beatles 曲の名義、発表の概要
作詞・作曲:Lennon-McCartney。The Beatlesのアルバム『A Hard Day’s Night』(1964)に収録。
The Beatles すてきなダンス I’m Happy Just to Dance with You(Remastered 2009)を聴く
手近なイヤホンで小さめの音でしか聴いたことがなかった……わけでもなく、家のスピーカーで聴いたこともあるはずなのに、今日ヘッドホンで聴いて今頃「どぅん、どぅん……」というヘンな太鼓の音に気が付きました。なぜ今まで私は聴き逃して(認知しそびれて)来ていたのだろう……
ヘンな太鼓なんて楽器はありません。Wikipediaを見るにジャンベだそうです。
高校生の頃の私は軽音部員であると同時にフォークソング部員でもありました。フォークソング部室にジャンベがあって、リズムを担当するメンバーがよく叩きました。2000年代初頭くらいの高校生の部活のお話。「アコースティックセットと来れば、ドラムの代替はカホンだ!」という定番意識はまだ近年ほど強くなかった時代な気がします。この頃の私たちフォークソング(“フォクソン”)部員にとってのドラムの代替とくれば、ジャンベが定番だったのです。
聴けば明らかですが、ビートルズの『すてきなダンス』ではドラムを省いての代替としてジャンベを鳴らしているのではなく、ドラムの演奏に加え、重ねています。
この曲にジャンベが取り入れられているのを今頃はっきり認知したのが本当に不思議なくらい、私の手持ちのヘッドホンで聴くと存在感が目立ちます。外界の異音がヘッドホンごしに紛れ込んだのかと思うくらい、ぎょっとする程の存在感です。
ジョージがリードボーカルの曲ですが作曲はレノン=マッカートニー。ダブリングの効いた歌唱が基本。メンバーがバッキングボーカル。
ギターの16分割の独特の刻みの訛った言語のような、すんでのところでもつれそうなグルーヴが印象的です。これを演奏するのがジョン。リードを歌いながら刻むのでないからこそ、ちょっと「やりすぎ」寸前な刻みのアレンジを誘引したのかもしれません。ふだんギターボーカルをよくやる人が、たまにボーカルの任を降りる楽曲があってギターだけを弾ける(あるいはバッキングボーカルとギターだけに専念できる)機会が来ると、ギターのみに意識を注ぎまくれることが嬉しかったりもします。だからなのかは知りませんが、そういう嬉々としたはずみ具合を感じるギターのリズムです。
ドラムのオープンハイハットの存在感はひとつのリンゴ印でしょう。ポールのベースと一緒に、左側に寄った定位です。
歌の内容はシンプルに恋の歌のようにうかがえます。
踊っているだけでいいんだ。キスしたり手を握ったりしなくても……純愛でしょうか、なんだか胸キュンです。でも君との踊りだけは邪魔されたくないのです。無垢な独占欲が主題なのだと解釈してみます。
青沼詩郎
参考歌詞サイト KKBOX>I’m Happy Just to Dance with You
THE BEATLES ユニバーサルミュージックジャパンサイトへのリンク
『I’m Happy Just to Dance with You』を収録したThe Beatlesのアルバム『A Hard Day’s Night』(1964)