イメージ THE BLUE HEARTS 曲の名義、発表の概要

作詞・作曲:真島昌利。THE BLUE HEARTSのアルバム『BUST WASTE HIP』(1990)に収録。

THE BLUE HEARTS イメージ(『BUST WASTE HIP』2010デジタルリマスタリングCD)を聴く

ギターのストローク一発ごとがトドメを刺すみたいです。ピシャンピシャンとピアノも激しく、鍵盤が飛び散りそうなサウンド。キーボードの演奏は白井幹夫さん。

左右にギターが分かれています。真島さんの多重録音かと思います。

間奏で転調。メインはCメージャー調ですが、ⅣにあたるFコードを経由してDメージャーに直結して間奏になるので、(直前のFコードを基準にみると)短3度下の調に転調したような錯覚を起こさせます。局所を見過ぎた錯覚を捨てれば、実際は元調であるCメージャーから2度上の調に行っている。

ギターのウラ拍のひっかけ方がいかにもロックンロールミュージックへの憧憬をあらわすようです。

べろべろのベースのピックストロークが雄弁。音楽の意匠上のヒネリなんて最低限でも持ち前のエネルギーでぶっ飛ぶ魅力がブルーハーツだと思いますが、それでも彼らの挑戦や気概や好奇心を感じるアルバムの1曲目です。『情熱の薔薇』を収録したアルバムですね。

ドラムの硬質なサウンドたるや。カンカン、ズバチコンと私の耳に通電。2・4拍目の強調だけでなくアタマにアクセントのあるパターンなども使い分けます。ハデハデでシンバルも高鳴ります。バンド映えする楽曲です。

真島さんの作詞作曲。ボーカルのポジションは終止高めの位置。甲本さんのノドの強さを信頼した声色で最初から最後まで串を通すイメージです。

“どっかの坊ずが 親のスネかじりながら どっかの坊ずが 原発はいらねぇってよ どうやらそれが新しいハヤリなんだな 明日はいったい何がハヤるんだろう”(『イメージ』より、作詞:真島昌利)

楽曲に原発がどうのという名詞を持ち出すと、社会の情勢に個人の意見をいう向きになってしまいかねませんが、あくまで「どっかの坊ず」の態度を引用している主人公は宙から惑星をみている奔放さです。移ろう時代にまたがる俯瞰を呈しています。自身も無関係ではいられない(がっつり関係者であり、地球の乗組員同士である)ことも自覚しつつ、明日は何が流行るのかとつぶやく。

“クダらねえインチキばかりあふれてやがる ボタンを押してやるから吹っ飛んじまえ”(『イメージ』より、作詞:真島昌利)

共感しかねる愚かさ(クダらねえインチキ)に怒る気持ちがハミ出そうな言葉づかい。イメージの中で、吹っ飛ばすのです。現実で、世界を破壊したり、誰かが誰かに暴力をするのを安直に否定するのとも違う。これは想像力の話です。

青沼詩郎

参考Wikipedia>BUST WASTE HIP

THE BLUE HEARTS | Warner Music Japan 

参考歌詞サイト 歌ネット>イメージ

『イメージ』を収録したTHE BLUE HEARTSのアルバム『Bust Waste Hip』(1990)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『イメージ(THE BLUE HEARTSの曲)ギター弾き語りとハーモニカ』)