情熱の砂漠 ザ・ピーナッツ 曲の名義、発表の概要
作詞:山上路夫、作曲:加瀬邦彦。ザ・ピーナッツのシングル(1973)。
ザ・ピーナッツ 情熱の砂漠を聴く
歌唱のダブルの線の美しさときたら世界一級じゃないでしょうか。双子の姉妹であるこのお二人のユニットである強みといえましょう。双子の姉妹だからといってだれでもこのハーモニーを出せる歌手になれるわけではないのは当然で……脱帽するばかりです。
右から紙をわしゃわしゃと丸めたような耳ざわりかろやかなエレキギター。左から叩く叩く!16分割で移勢を叩き込みまくる情熱的で、良い意味で粗野なくらいのワイルドなピアノ。ふたつのコードストロークの楽器が左右に開いてきれいな布陣です。
ベースもまたストロークを刻みまくります。16分割で打点をつらねる。ドラムスは勇猛な各パートの点をみごとに束ねています。精密です。ぶわーっと湧き上がるブラスの分離のよさ。
クラビネットがピコピコと異質な魔物感。くるりの『愉快なピーナッツ』というクラビネットっぽいトーンの入った楽曲があるのですが、ピーナッツとクラビネットの組み合わせで思い出します。
ヒョワォンワォンワォン……というヘンな音が聴き取れますか? エレキギターのトーンをワウペダルを使ってあおったような音がアクセントします。ただならぬもの、キテレツなもの、奇抜なもの、求心的・革新的な態度を感じます。
ザ・ピーナッツとしては後期にあたるレパートリーのようですが、攻める姿勢を感じて好きです。勇ましいし、それでいて精密で確かで、かつ暴れまくっている。鑑ですね。
編曲は星勝さん。モップスのメンバーであり、井上陽水さんとの関係を思い出す業界人というイメージです。なるほど、クレイジーなわけでしょうか。
青沼詩郎
『情熱の砂漠』を収録した『決定版 ザ・ピーナッツ』(2023)
ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『情熱の砂漠(ザ・ピーナッツの曲)ピアノ弾き語り』)