2020年のクリスマスプレゼントはくるりからのニューシングルだった(と思って自分で買った)。

ことでん”こと高松琴平電気鉄道を主題にした曲。

電車が走って行く様子を思わせる“コトコトコトコト”という擬態語のような擬音語のようなサビ。「ことでんで」との押韻でくくる。

私はまだことでん沿線を訪れたことがない。この曲が恋の初々しさやわくわく感も一緒に、現地の風景に私を連れて行ってくれる(歌の結びには老後?の八十八カ所巡礼まで…)。

間奏がクラシカル。何かのソナタのようなアリアのような、古典音楽への敬愛を感じる。私はヘンデル『オンブラ・マイ・フ』を思い出したけれど、どれとは特定し難いさまざまな名曲のエッセンスが入っているのではないか。クラシックの知識も「ことでん」についての生の知見も持ち合わせていない私だからうまく解体しきれないけれど、きっと曲のテーマに沿った様々な暗示や示唆が込められているのではないか。

クラシカルな旋律なのだけれどエレピのようなトーンで表現されているので、音楽の鉄道が数百年の時空にまたがって敷かれた気分。

この間奏は主旋律と伴奏?の2声が基盤だけれど、9小節目あたりからはカウンターメロディも入ってきて多声音楽のようになる。これも、ことでん沿線の旅の経過の何かを表現しているのかもしれない。

曲中のことでん沿線の地理

歌詞に出てくる「片原町」「瓦町」は高松港の南。

そこから東に琴電屋島。歌詞に出てくる「山」とは北側にある屋島展望台屋嶋城跡のことだろうか。「山」はてっきり駅(琴電屋島)からみて内陸側にあるものと思い込んだが、なんと海側。瀬戸内海周辺の地形がいかに険しく複雑かを思う。

プラプラプラレール

クリスマスから約1ヶ月、『コトコトことでん』で音楽の壮大な小旅行を楽しんでいたらまた新しい知らせが私に。

架空の鉄道会社「プラレール鉄道」のテーマ『プラプラプラレール』が映像とともに発表された。

コトコトことでん』をベースにしたくるりのオリジナル楽曲はキーもテンポも歌詞も一新されていて、本家(コトコトことでん)のまろみあるプログラミングサウンドを踏襲しつつもデジデジな方向に元気をブーストさせた印象。Dメジャーキーで歌い出し、Fメージャーキーで平歌、サビはまたD。一瞬D♭に下がって「プラプラ」を唱えたかと思えばすぐに元のDに上がる。約1分半、ジェットな魅力が詰まっている。

コトコトことでん』には畳野彩加、『プラプラプラレール』にはUCARY & THE VALENTINEをフィーチャー。2020年9月にオンラインで開催した京都音博を思わせる面子との楽しいコラボが続く。

青沼詩郎

ことでんグループ 公式サイトへのリンク

http://www.kotoden.co.jp/

タカラトミー プラレール鉄道サイトへのリンク

https://www.takaratomy.co.jp/products/plarail/tettei/set/plarail_railway/

くるり 公式サイトへのリンク

http://www.quruli.net/

くるりのシングル『コトコトことでん / 赤い電車 (ver. 追憶の赤い電車) (完全生産限定盤)』(2020)。完全生産限定盤には『ことでん 瓦町駅 出発メロディ』も収録。

『コトコトことでん (feat.畳野彩加)』を収録したくるりのアルバム『天才の愛』(2021年4月28日発売)

ご笑覧ください 拙演

青沼詩郎Facebookより
“2020年のクリスマスに発売したくるりのシングル『コトコトことでん』。
「ことでん」が愛称の高松琴平電気鉄道(香川県)が歌の主題。私は未訪の土地なのだけど、歌が連れて行ってくれる情景からどんな場所なのか想像。
プログラミングの電子音風がかわいい。間奏はまるでクラシック音楽。特定できないが名曲のメロディが潜んでいそう。何かの暗示や意図をたっぷり込めて作曲しているのか。なんだろな。知識がないのだけど私が想起するのはヘンデルのオペラのアリア『Ombra mai fu』。ほか、いろんな古典のメロディがドリップされてる感じ(勘違い?)。
『コトコトことでん』は2018年3月21日から瓦町駅の発車メロディになっていて、さらに遡ると2011年の開業100周年時に記念の催しとして仏生山工場でライブ演奏されたことがあるそう。だから、すでに10年近い時を越えて今に届いている曲。
さらに28日、架空の鉄道会社「プラレール鉄道」のテーマソング『プラプラプラレール』が映像とともにYouTubeで公開。タイトルから匂う近作『コトコトことでん』の影。
察しの通り、『コトコトことでん』をベースに作られたオリジナル曲。歌詞やキーやメロディも変化していて曲調や歌の表情も元気いっぱい、楽しく快活な味付け。
という『コトコトことでん』の拙演、ご笑覧ください。”