小林亜星作品をうろうろ
先日『ピンポンパン体操』(作詞:阿久悠、作曲:小林亜星、1971年)を知って受けた衝撃が大きかった。『ピンポンパン体操』はザ・ドリフターズを聴き漁っていて知った。ザ・ドリフターズを聴き漁ったのは『いい湯だな』の作曲者がいずみたく・作詞者が永六輔だったから。このコンビに目が行ったのは、坂本九が歌って広め、私が十代だった頃にKinKi Kids・堂本剛がカバーした私の好きな曲『見上げてごらん夜の星を』の作曲・作詞が同コンビによるものだったから……という具合に、音楽数珠つなぎの探訪はつづく。
『未知という名の船に乗り』との再会
そんなつながりで『ピンポンパン体操』に至ったのだけれど、この作者2人(阿久悠・小林亜星)による作に『未知という名の船に乗り』があるとわかった。どんな曲だったかと思って検索して聴いてみたらすぐにピンと来た。
「この曲、懐かしい!!!」
私はこの曲を歌ったことがあるのだ。小学校のときの音楽の授業か。うろ覚えだから、どんな機会にどんな時期にこの曲と出会い・触れたのかは不確かだ。でも、曲をはっきりと覚えている。いい曲だった。今聴いてもいい曲だ。忘れていたこの曲と、音楽数珠つなぎの道すがら20余年(※)を経て再会したのだ。いかに音楽が人類の豊かな財産であるかを実感する。
※(仮に出会いが私が小学生の頃だったとした場合。曲自体はリンク先動画にあるように、1981年度のNコン課題曲。39年も前なのですね……この記事の執筆時、2020年基準)
歌詞と音楽 軽快で推進力ある佳曲
勇ましくぐいぐい引っ張るピアノ伴奏がかっこいい。8分のウラ拍のコードストロークが船を前へ前へと推し進める。少年少女の旺盛な好奇心を表現したテーマソングだと思える。
歌詞にある印象的な表現を紹介する。
“未知という名の船に乗り 希望という名の地図を見て 夢という名のコンパスで 未来を訪ねる冒険者”
“未知という名の船に乗り 勇気という名の帆をはって 愛という名の舵をとり ぼくらはこぎだす冒険者”
(『未知という名の船に乗り』より、作詞:阿久悠、作曲:小林亜星)
それぞれの名詞に、未知、希望、夢……といった名前を付して連ねる比喩のリズム感、比喩の反復や連鎖が好印象。サビ(?)では不思議や疑問や悩みも冒険の道につきものであり、同時にそうしたものさえ好奇心の原動力となることを歌っているように私は感じる。
私のこの曲への好意を言葉にすると、こんなところだろうか。この曲とまた会えて良かった。
音楽の海を積極的に航海するようになったのは、私についていえば少年時代よりむしろ今だ。音楽の世界のさまざまな地図がつながって、冒険をするほどに世界がおもしろくなる。今の私と少年の心と、どこがちがう? 自覚の有無か? 未知は尽きない。
青沼詩郎
『未知という名の船に乗り』(指揮:辻正行、歌:クロスロード・ツインズ・ハーモニー、ピアノ:川井敬子)を収録したコンピレーション『あの日教室で歌った 思い出の合唱曲 あの素晴らしい愛をもう一度』
『未知という名の船に乗り』(青森県八戸市図南小学校合唱部)を収録した『小んなうた 亞んなうた ~小林亜星 楽曲全集~ こどものうた編』
ご笑覧ください 拙演
青沼詩郎Facebookより引用
“第48回(1981)NHK全国音楽コンクール小学校の部課題曲。
先日『ピンポンパン体操』(1971)を知った衝撃がすさまじく、小林亜星作品をうろうろ。
阿久悠・小林亜星作はけっこうあるみたいで、この『未知という名の船に乗り』もそのひとつ。
存在をすっかり忘れていたけれど、この曲を確かに私は歌ったことがある。小学校だったか。中学か? 時期は不確かだけれど、曲を検索して聴いてはっきり「これ、なつかしい!!!」と思った。本当に忘れていたから、妙な感動があった。いい曲だと思ったからだ。
手元や実家を漁ったけれどこの曲が載った本は一冊も見つからなかった。絶対に学校でやったと思うんだけどな。採用した教科書や資料以外の教材で音楽の先生がやったのかな。それか私の本棚の探し方が不十分なのか、処分してしまったのか・・・
勇ましくポジティブなエネルギー宿る軽快な曲。”