たとえば1980年代を10代で楽しんだリスナー先輩
世の諸先輩方が作り出した傑作を勝手ながら弾き語りさせていただき、動画をYouTubeにさらす活動をしています。学習チャンネルといいますか、みてくださったかたの学習になる代物では到底なく、ただ私が「晒す」という緊張感のもと日々「自分(私)が学習する」目的の甚だ迷惑極まるソースでして「チャンネル」といっていいのか「コンテンツ」といっていいのかさえ憚られます。もしあなたが私(筆者)のチャンネルやこのブログのほかの記事をみたことがあるという方でしたら頭が下がる思いです(いま、この記事を執筆する画面の前で頭を下げています)。
楽曲を書いたり歌ったりする諸先輩がたの傑作のコピーに挑戦しておりますと、やっぱり先輩ごとに、声域というのがあります。そういうのが私の肉体と全然合わない先輩もいます。その先輩の曲は移調するしかない。あるいはそもそも選ばないということになってしまいます。そういう曲のなかにもたいへん素晴らしいものが多くありますから私の不勉強の来すところです。
来生たかおさんの声域は、わりと私個人がそれなりに響きを出せる声域と近いものがあります。おおむね、移調しないでそのまま歌える曲が多いことにいつしか気づきました。
来生たかおさんの曲や歌の魅力に気づくきっかけをくれたのは、やっぱり私の先輩(単に年上の意味)でした。来生たかおさんの1980年代ころの傑作に同時代にふれて心を豊かにしたような、そんな世代の先輩です。私は1986年生まれなので、その頃にすでに15歳とかそれくらいだった先輩が来生たかおさんの1980年代頃の作品を同時代的に楽しんだことになりそうですのでそうした諸先輩はだいたい2024年現在は50代中ほどくらいなのかなと思います。私の冗長な話に傾聴していただき恐縮です。来生たかおさんの『無口な夜』を聴きましょう。
無口な夜 来生たかお 曲の名義、発表の概要
作詞:来生えつこ、作曲:来生たかお。来生たかおのシングル、アルバム『Ordinary』(1983)に収録。
来生たかお 無口な夜(アルバム『Ordinary』収録)を聴く
いとしいひとよ、お眠りなさい。いい夢が見られそうな気しかしません。ここちよい歌声です。都会的でおしゃんなサウンドです。
階段を上るようにベースと和声をにじり上げ、間奏に突入。視界がひらけるように気分が変わり穏やかな曲調に清涼をもたらします。間奏のさわやかで洗練された感じ、ギルバート・オサリバンとかスティービー・ワンダーとかビリー・ジョエルが私の記憶のなかから顔を出します。来生さんが愛好したりリファレンスしたりする音楽がどういうものか私にはもっと知識が必要ですが、来生さんが1980年代に活躍する頃、その時代あるいはそれより前を築いた音楽の遺伝子を勝手ながら感じるサウンドです。
聡明な女声のバックグラウンドボーカルが甘美な響きで漂います。来生さんの中低域のおだやかな歌声に、娯楽音楽、エンターテイメント音楽としての華やかさを添えるようで粋です。ストリングスの準固有和音をぶつけてにごすような音程えらびがオシャン。ちょくちょくナインスのぶつかるようなベーシック楽器の和声が良いです。
アコースティックのピアノよりも、電気だか電子を通った感じのキーボードワークをより近く感じるサウンドで、肉体性がほどよく薄められたこの時代なりのオシャンサウンドなところが淀や濁りなく入眠できそうな心地よさです。ドラムスの音がキレイで、音程の違うタムで定位を左、右に広げます。しゃしゃらないプレイですがさりげなくて心地よい。ベースの半音ごとに打たれたフレットを移ろうスライドの質感まで感じられるやわらかで的確なプレイとサウンドもまた耳福であります。
シングルバージョンのアレンジがかなり違うようで、没入できる環境でそちらも聴いてみたいです。
青沼詩郎
参考Wikipedia>Ordinary (来生たかおのアルバム)
来生たかお Takao Kisugi Official Siteへのリンク
『無口な夜』を収録した来生たかおのアルバム『Ordinary』(オリジナル発売年:1983)