1月は阪神淡路大震災の周年。震災がきっかけで生まれた曲、『満月の夕』を最近味わった。今年は1月17日で26年経つ。
ソウル・フラワー・ユニオンは前から知っていたけれど、最近どんどん好きになっている。
バンドのフロント、中川敬を中心にその活動が多岐。いくつもの名義を使い分け、幅広く奥深いキャリアを歩んでいるのが彼らの公式サイトを見てわかる。
『満月の夕』を味わって、検索したり調べたりする中で他にもいくつかの曲名を知るに至る。
その中でひとつ、目をつけた。
潮の路 岸田繁カバー
くるりの岸田繁が2016年にカバーを発表している。
波の音、ナイロン弦のポロリというイントロ、口笛の間奏。アコースティック・ギターでの弾き語り中心。サビのおしまいにかけて長くサスティンする音はなんの楽器だろう。複弦っぽい音もきこえる。Ⅴ→Ⅲmなどのリハーモナイズド(コードの置き換え)も効いている。キーはD。
ゆったりとしたトリプレットから波の揺れ、広く大きい海、水平線が見えてくるやさしい演奏。
潮の路 ソウル・フラワー・ユニオンライブ
中川敬らソウル・フラワー・ユニオンによるライブ演奏(動画18:20〜)。
前に前にいくテンポ。
多様なバックグラウンドを持った個性的な楽器がいろいろ入っていて歌は力強い。キーはF。
中川敬のパフォーマンスをみて私は三線の弾き語りにとても興味を抱いた。他アーティストに沖縄ポップのようなものの例は数多あるけれど、中川敬らのそれには世界の広がりを感じるし、彼の求めるほうに自然に三線という楽器があっただけなのではと思う。ロックだし、民謡を感じる。決して狭義の沖縄ポップのようなものにとどまらない音楽の豊かさ、多様さを感じる。
(そのまま『満月の夕』に突入する流れがなお良し。)
『潮の路』の最初の収録音源の発表は中川敬のソロ名義、ソウルシャリスト・エスケイプのアルバム『ロスト・ホームランド』(1998)か。彼らの広い海を私はまだまだ未航海。楽しみが遠く広がっている。
青沼詩郎
『潮の路』を収録した 中川敬のソロプロジェクト・SOUL-CIALIST ESCAPEのアルバム『LOST HOMELAND』(1998)
ソウル・フラワー・ユニオンとニューエスト・モデルのトリビュートアルバム『ソウル・フラワー・ユニオン&ニューエスト・モデル 2016 トリビュート』
ご笑覧ください 拙演
“『潮の路』
中川敬(ソウル・フラワー・ユニオン)のソロプロジェクト、ソウルシャリスト・エスケイプのアルバム『ロスト・ホームランド(LOST HOMELAND)』(1998)に収録。
『満月の夕』を味わった流れでこんな曲もあると思い起こす。
岸田繁(くるり)が2016年にカバーしていらっしゃる。
トリプレットのリズムと歌詞が美しい。
中川敬関連の名義の多さをみてもその活動は多様とわかる。ライブ映像に三線+ボーカルスタイルがみてとれる。彼がやっているのは狭義な「沖縄ポップ」スタイルに非ず。ワールドミュージックというか、あくまでロック・バンドというか、直接歌い継ぐ民謡の精神というか、「○○ぶってる」のではなく、素の態度でいる。そういう広い音楽性を含みうるところに、くるりと通ずるものを強く感じるこの頃。すごくいいなと思うしファンになった。”