私は今年(執筆時、2020年)の7月17日から毎日弾き語りカバー動画をアップロードしていますが、自分と同性のシンガーの歌が多くなってしまっていないかふと疑問を抱きました。
ざざっと自分がアップロードしてきた曲のうち、私と異性(女性)のシンガーが歌ったと思えるものを数えると…
まず思ったのが、数えにくいということです。
異性のシンガーの歌…という定義ですが、意外と私の抱いたその定義はあいまいでした。最初にその曲を発表したオリジナル・アーティストの歌い手が異性ならカウントするのか? 作曲者や作詞者が異性だったらカウントすべきか? どっちが先かわからないタイミングでの発表で、両性のシンガーに歌われた曲だったら? 童謡や唱歌や民謡は最初に歌った人、つくった人でさえよくわからないものがあるがどう扱うか?
そもそものこの「自分と同性のシンガーの歌ばかりカバーしてしまっていないか?」というテーマ。それは、「異性のつくった歌には、同性中心でつくった歌にはない特徴や傾向が見出せるのではないか? 仮にそうならば、それらを積極的に取り上げることで、私はさらに発展した音楽の世界に浸れるはず」という仮説にもとづいたものでした。
いざ自分は「本当に同性の歌ばかりを多く取り上げてきたのか? 偏りがあるのか?」をつきつめようと、自分がアップロード・公開した動画たちをカウントしようとすると…上に挙げたような理由で、まぁ数えにくいこと。
それでも、くじけては検証があいまいになってしまう。定義づけに弱さがあっても今はよしとして、とにかく強引に数えてみろ! と自分をプッシュ。
ざっくりですが2020年7月17日〜10月12日朝の期間にアップロード・公開した私のチャンネル内動画をカウントすると、
全部で90
【内訳】
・女性シンガーオリジナルのもの…11
・男性シンガーオリジナルのもの…59
・その他(童謡、唱歌、民謡、自作曲など)…20
…くらいでした。
「あれっ、数えにくいな。やっぱり音楽の世界は性別にとらわれない。境界線は、あるようでないのかも?」と思いましたが、強引にでも数えてみると、やっぱり偏りがありました。
弱みと揺れに満ちたグラグラな定義づけでテキトーに数えただけなので、どれだけの信ぴょう性がある検証かわかりませんけれど。
性によって差別する意志も意図もありません。性には特徴や傾向の違いがあるのを私はしたためます。それに起因して、ソングライティング、音楽に表出するもの、表現するものにも特徴や傾向を見出せるはず。いまのところ私はまだ、その仮説を捨てていません。
前置きが長くなりましたが、そういったことを背景に、「今までよりも積極的な意図のもと、異性のつくったり歌ったりした歌をカバー動画で取り上げよう」という方針をかかげました。どれだけ努められるかわかりません。そのことが苦にならないようにもしたい。
でもとりあえず……先日さっそく反映してみようと取り上げたのがthe brilliant green『There will be love there -愛のある場所-』。
オリジナル・アーティストのライブ
the brilliant greenのシングル、アルバム『the brilliant green』(1998)収録曲です。作詞がボーカルの川瀬智子。作曲がベースの奥田俊作。
女性がフロントマンのバンドの曲でも男性メンバーが詞や曲のいずれか、または両方を担当している事例は多そうです。
『There will be love there -愛のある場所-』の歌詞を書き取ってみましたが、語数の多さを実感しました。いつも同じ大きさのノートの見開き(左ページと右ページ)に一曲の歌詞とコードが収まるように聴き取って書いているのですが、小さめに書くように努めてなんとか一曲を収めた次第。無印良品のA5のノートを使っていますが、普段、曲によっては余裕で余ります。
詞を先に書いて、あとから作曲した(詞先)のか? 曲が先なのか? 『There will be love there -愛のある場所-』における制作の方法やプロセスはどうなのでしょう。
語数がかなり多いのを思うと……自由に詞を川瀬智子が書いてから奥田俊作に渡したのかと想像。ロマンや理想を表現した歌詞が素敵です。
カノン進行……とでもいいたくなるテッパンのコード進行に私は目がいきます。それから、低めの音域を大胆につかっているボーカルメロディ。メロ中での使用声域は1オクターブと5度くらいです。メロの最低音がなかなかに低い。上にリンクをはったライブ動画ですが、最後で「ありがとう〜」という川瀬智子の地声がちょっと低めに感じます。歌唱のサビの印象からはあまり思いませんでしたが、彼女の声域の分布はやや低めでしょうか。強く、自立し、主張とノリのあるキャラクターなのかもしれません。京都ご出身のようですが、しゃべるとややキャラがにじむ気もします。
仮説した、表現ににじむ性別の傾向はあるのかもしれませんが、音楽の魅力の前では結局そんなことも忘れてしまいます。どっちでもええやん。
青沼詩郎
『There will be love there -愛のある場所-』を収録したアルバム『the brilliant green』(1998)