Ticket to Ride 涙の乗車券 The Beatles 曲の名義、発表の概要

作詞・作曲:Lennon-McCartney。The Beatlesのシングル、アルバム『Help!』(1965)に収録。

The Beatles Ticket to Ride 涙の乗車券を聴く

切符はそもそも乗るために手に入れるものです。だからチケット・トゥ・ライドはわざわざ念を押しているみたいな表現にも思えます。もちろん映画のチケットとか遊園地やアミューズメントパークの入場チケットとかお寺の拝観チケット(?)とか、さまざま切符にもありますから、乗るための切符であると言ってやる価値もひとつ見ものだといえます。

またRydeという土地の訪問がこの楽曲の作曲の動機だか着想のヒントになっているともいえます。地名のRydeと動詞のRideをかけたのですね。

私もあなたも、未来へまっしぐらに向かっているわけです。切符なんて求めなくてもあらかじめその手・この手にまぼろしの切符が握られている。行き先が「涙の」だなんてした邦題は大胆といえるのか、歌詞の内容を見事に抽出したと称えるべきなのか、あるいはその両方か。

イントロから12弦ギターが降ってくる。このきらびやかなイメージが「これこれ」感を呼び覚ますトリガー。もちろんそれだけでこの曲が広く知れ渡り愛される名曲になるとも限らない。カーペンターズによるカバーも拡散に一役買っているでしょうか。

もつれたようなドラム・パターンはコピーバンドの挑戦心をあおるモチーフです。2拍3連と採譜して良さそうなのだけれど、どこかちょっとシックスティーンのタイによる移勢との間くらいの絶妙なニュアンスのゆらぎがあるようにも聴こえるし、正確に2拍3連を続けているようにもきこえる。そのあたりはクリックの目盛り(グリッド)どおりに演奏……なんてしない時代の音楽制作を思います。バンドの息、呼吸こそが秩序を敷くのです。それでいいし、私はそれがいい。

ベースの痛烈なくらいの低音の主音保続がどこまでもまっしぐらに行ってしまう鉄の道、レイルウェイです。

ハーモニーボーカルの音程が調和しすぎて空虚なくらい。完全音程なのかな。ボーカルがユニゾンでダブルになっているところもなんだかサビシイのです。

セカンドブリッジとでもいうのか、構成の名前のつけかたがわかりませんが“I don’t know why she”……のところの早口ぶりがリズミカルで和音もセブンスのニオイがきつくなりスパイシーでエッジな印象です。ヴァースのあたりが主音の保続で猛烈な安定感を樹立しているがゆえに、展開の変化がもたらす振れ幅がより劇的に映えます。

エンディングはファルセットに抜けるような“My baby don’t care”の展開がもう僕は降参だよという弱りぶりなのかしおれぶりなのか。白旗を降ってとおざかっていくみたいな可憐さです。列車は動いていってしまう。僕が膝をかかえてうずくまっていたってね。

青沼詩郎

参考Wikipedia>Ticket to Ride

参考歌詞サイト KKBOX>Ticket to Ride

The Beatles ユニバーサルミュージックサイトへのリンク

『Ticket to Ride』を収録したThe Beatlesのアルバム『Help!』(1965)

参考書

ビートルズを聴こう – 公式録音全213曲完全ガイド (中公文庫、2015年)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『Ticket to Ride 涙の乗車券(The Beatlesの曲)ギター弾き語り』)