うららかSUN ハナレグミ 曲の名義、発表の概要
作詞・作曲:永積タカシ。ハナレグミのアルバム『日々のあわ』(2004)に収録。
ハナレグミ うららかSUNを聴く
心底魅力的なミュージシャンでソングライターだと実感します。泉のように沸き起こるダジャレ。吹き上がるメロディ。芽吹き、咲きまくる演奏の花。音楽が息吹いています。
「ローハイド」とはあまり聞き慣れない単語でした。西部劇とか乗馬とか鞭、革製品をイメージさせます。「ローハイド」の単語のニュアンスを私はまだ掴み切れていませんが、それを踏まえて聴くと、『うららかSUN』はウエスタンをモチーフにした軽妙なエンターテイメント音楽を目指したアティテュードなのではないかと思えてきます。
エレキギターがとにかく飛び散り、はみださんばかりにゴキゲンで軽やかです。フェンダー系のギターでしょうか、ミャンミャンと鋭さとゆるやかさの狭間で線を描きます。スパンスパンと鞭をいれるみたいにドラムスのスネアのアクセントは鋭い。右寄りの定位にチクチクと刺すようなパーカッションが刺激的です。ベースもよく動き闊達です。
“旅の準備は ALL RIGHT”で曲を閉じますが、アルバムはこれが始まりです。あまりにばっちりすぎるトップバッターではないでしょうか。
『うららかSUN』は敬称の「さん」、人の名前を呼ぶときに尾につける語句にも思えます。「うららかな人、〇〇さん」的なニュアンスを備えているように思えます。
“あの娘どこの子 ハイサイ 一夜かぎりの アイアイ 口説けるわけが ナイヤーイ! 三十路まぢかの shy guy”(『うららかSUN』より、作詞:永積タカシ)
ハイサイといえばどこの子かわかりますよね。オキナワでしょうか。「アイ」の脚韻がばっちりです。そう、ハナレグミといえば韻の達者な人だと思います。フラットに、リスナーとおなじ地平にいる、あらゆる人にとっての親戚のゴキゲンさん(SUN)みたいなフレンドリーさを私は覚えます。
ハナレグミこと永積タカシさんは1974年生まれのようですので、アルバム『日々のあわ』(2004)リリース時はおよそ30歳ですね。歌詞のとおり「三十路まぢか」あるいは三十路に入った頃合いの楽曲なわけです。ライブで10年後・20年後と経過して演奏するなら、四十路や五十路を代入して小さな笑いをとれるかもしれません。この記事の執筆時は2024年ですから……リアル五十路ですね。
ALL RIGHTで出発した旅のその後が気になります。録音作品でもこれだけのゴキゲンをパックできるすばらしいミュージシャン、ハナレグミの五十路街道?をライブで現場で観たいこの頃です。
青沼詩郎
ハナレグミ 公式サイト>ディスコグラフィ>日々のあわ ハナレグミのセカンドアルバム『日々のあわ』、サウンドプロデュースはLITTLE CREATURESのベーシスト・鈴木正人さん、鈴木惣一朗さん。 『うららかSUN』を1曲目に、心地よいサウンドが豊潤に詰まったアルバムです。ヨダレが出そうな生演奏の気持ちよさよ。
『うららかSUN』を収録したハナレグミのアルバム『日々のあわ』(2004)
ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『うららかSUN(ハナレグミの曲)ギター弾き語りとハーモニカ』)