破れたハートを売り物に 甲斐バンド 曲の名義、発表の概要
作詞・作曲:甲斐よしひろ。編曲:椎名和夫。甲斐バンドのシングル、アルバム『破れたハートを売り物に』(1981)に収録。
甲斐バンド 破れたハートを売り物にを聴く
この曲を知ったのはこの動画だったのです。
YouTube>PROMOTION KAISURF>破れたハートを売り物に(甲斐よしひろビルボードライブ2017)
ウクレレのストラミング。甲斐さんはレフティだったのだとここで知る私。コントラバスがグモーとうなり、ヴァイオリンがフィドルのような役割をします。トラディショナル、フォークなどの様式を思わせる素朴な歌。シンガロングにもうってつけ。「歌」様式の原点を思わせます。和を場にもたらす、歌らしい歌だと思います。何年たっても、どんな様式でもその「中身」が生き続け、その時代の人の心と共鳴する楽曲だとしみじみ魅力を実感しました。
これが楽曲『破れたハートを売り物に』との私の出会いだったものですから、原曲を知ったときにはたまげました。
ポンポンと電子ドラムの音がこれでもかと降り注ぎます。オケの成分を占める割合のほとんどがこの電子サウンドなのじゃないかと思わせるほどに私の意識を多います。
ライブ映像でヴァイオリニストがうまく原曲のストリングスのモチーフをピチカートで再現していたのに気づきます。
ピュンピュンと交う電子ドラムサウンドの間を渡るストリングスの風。
ボーカルトラックの厚みが含有成分の多くを占めます。甲斐さんの多重録音もいるようですし、女声も入っています。ベースとほとんど同じ音域にも男声がいて、上から下まで厚く声のドローイングを描き込みます。
電子ドラムのサウンドと対比させるには、このボーカルトラック群の厚みが必須だったのです。
燃えるような赤い帆を上げ海を お前をだいて 渡ってゆきたい 生きることを 素晴らしいと思いたい お前と行きたい 一人ぼっちはいやだ
悲しみやわらげ 痛み鎮める 終わることない雨のような 愛で包みたい 雨の日も アー 風の日も 俺の愛は お前のものだから
破れたハートを売り物にして 愛にうえながら みんなさまよってる
破れたハートを売り物にして うかれた街角で さまよいうたってる
『破れたハートを売り物にして』より、作詞:甲斐よしひろ
特定のパートナーに宛てたメッセージとして読んでも良いですが、これは自分の映し身に宛てた愛の直上だと私には思えるのです。プライド、誇り、自尊心を思わせます。
何も、自分をエラいものととらえているというではありません。尊いもの、たったひとつのありのままのものだと解釈・評価しているからこそ素直に導かれ唇を通って出てくる「言霊」だと思うのです。
言霊は人と人、肉体の境界をすり抜けて、世界を渡っていきます。和を場にもたらす歌の鑑ではないでしょうか。
青沼詩郎
参考Wikipedia>破れたハートを売り物に (曲) 破れたハートを売り物に(アルバム)
表題曲を収録した甲斐バンドのアルバム『破れたハートを売り物に』(1981)
ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『破れたハートを売り物に(甲斐バンドの曲)ギター弾き語りとハーモニカ』)