作詞:松本隆、作曲:大瀧詠一。ナイアガラ・トライアングルのアルバム『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』(1982)に収録。編曲はCHELSEA(大瀧詠一の変名)。

”パニックさ”の歌詞でくくります。ニヤリとさせますね。見事です。いったいいくつ音の仕掛けがしてあります? アルバムバージョンのエンディングは鳥の声。レーザー・ガンがビュンビュンと飛び交う音。花火のような音。爆弾?の爆発音? 滝やら海がごぉーっというような遠鳴り? 目覚ましベルの音色。

Cメロ?ブリッジ? に入る前のカエルがけろけろいうような声が分散和音。ここ、好きです。

そのCメロ?に入るところも好きですね。G♭メージャー調でパフォーマンスされていますが、Ⅵ7といいますか、E♭のコードでⅡm、すなわちA♭mにつなぎ、D♭/F→G♭→B♭7……といった感じでしょうか。

ド、ドド、ザ! っと、オーバーダブされたような分厚いビートが楽曲の印象のひとつとして大きいでしょう。兵隊さんが大勢でざっざっざっと歩くような印象を受けますね。

歌詞“ベッドに君がいた”のあとに、“あーやーややーぁ”……とフェイクがつづくのもツボです。目を覚まして、一緒にいる君をしたため「……(やっちゃった)」的な意味の「あーやーややーぁ……」を想像させます。解釈は自由ですがニヤリとさせる、それも純然たる音楽のしかけと種々の効果的な音を掛け合わせ、演奏、透明で壮麗なサウンドで。大瀧さん流の音楽のつくりかたがふんだんに“しかけ”られた、コンパクトで私好みなポップソング=大衆音楽です。

青沼詩郎

参考歌詞サイト 歌ネット>ハートじかけのオレンジ

参考ブログ れんたろうの名曲納戸的ブログ(別館)>解説#5 「ハートじかけのオレンジ」篇 その2 豊富な(豊富すぎる!)参考楽曲を挙げつつ、大瀧詠一さんが『ハートじかけのオレンジ』を作った経緯やアイディアの元を考察する大滝廉太郎さんのブログ記事。私の思う多羅尾研究の大家です。

『ハートじかけのオレンジ』を収録したナイアガラ・トライアングルのアルバム『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』(オリジナル発売年:1982)

ご笑覧ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『ハートじかけのオレンジ(大滝詠一の曲)ピアノ弾き語り』)

♡じかけのオレンジ