シンプルです。存在感が目立つのはアコギとベース、ドラム。エッジの効いたメインボーカル。2コーラス目からホアーっとオルガンがいい感じ。エンディングでピアノがいつの間にいたの?!と思わせます。……ちょっと待ってくれ!と思う間に終わってしまう。置いてかれてポカンと呆けてしまいます。
アコギはちょっとコーラスがかったような輪郭の綾。ベースとユニゾンするキメのフレーズのところでピアノの味わい。コーラスはハーフオープンのドラムス。コーラスが済むとすっとハイハットを閉じ、やがてオルガンが地平線を描き込みます。2拍目でクローズドにするアコースティックギターのストラミングのリズムが肝。「Yeah」と上がるボーカルフェイクの熱量に聴き入る……かと思えばポンと崖から突き落とされるみたいにあっけなく終わってしまう。そしてもう一度聴く……を繰り返す私です。
雨を見たかい……一体なんのことをいっているのでしょう。平易な言葉が並ぶ英語の歌詞。どうとでもとれる、比喩に富んだ「寝言系」とでもいいましょうか。なんにでも重なりそうな「観念」系か。
気になるラインは“Sun is cold and rain is hard”。太陽といえば燃えるように熱いもの……と口をついて出そうな「常套句風」の逆をいきます。真っ青な夕焼け、深緑色の日の出……サイケでいかれた色の感覚、普通とは違った感性を詞で表現するのも面白いかもしれません。
カツっとタイトに鳴るドラムス、ぽつねんとしていて輪郭がはっきりしておりペンタトニックっぽいふしまわしのベースライン。音楽は本当にシンプルです。ドスの効いた……といいますか、ひとりで核爆弾でもなんでも背負ってしまいそうな勇壮なメインボーカルが際立ちます。
どうもメッセージ、あるいは比喩、その解釈の味わいの的を射ることのできない情けない私の英語力。こんなときは検索に頼るのみです。
世界の民謡・童謡>雨を見たかい Have You Ever Seen the Rain? 歌詞の意味・和訳・解釈
バンドの内情が楽曲に沁みだした可能性を思わせる記事に、楽曲の味わいが奥行を帯びるのを感じます。現金な私。
晴れているときの雨のキラキラ感は、雨の多い国、日本の人は想像しやすいのではないでしょうか。
エネルギーや富、恩恵の象徴である太陽ですが、うまくいっていても、どこかその裏返しであるヒリつきや、紙一重で台無しになりそうな不安とのとなりあわせ感……それが、ColdなSunなのかもしれません。
素朴でシンプルすぎる楽曲のサウンドは、風光明媚、きらびやかなのだけどもひたすら何もない原野、恩恵と生死の距離がいかに近いかを思わせます。自然の厳しさ、それと隣合わせの光の美しさです。
青沼詩郎
John Fogerty – Official site of John Fogerty
『Have You Ever Seen the Rain?』を収録したCreedence Clearwater Revival(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)のアルバム『Pendulum』(オリジナル発売年:1970)